時制は大学入試頻出!
時制で特に狙われる3つのポイントは
時・条件の副詞節中の時制
現在完了形
過去形
の3つです。
なお、時制の中に仮定法を含む参考書も存在しますが、ここでは仮定法を含まない「時制」という単元を考えています。それぞれ解説および例文を紹介していきます。
~もくじ~
時・条件の副詞節中の時制
時や条件の副詞節中では、未来のことを現在形で表します。
文法では入試最頻出と言われています。なぜこんなに狙われるのかと思いたくなるほど、入試最頻出です!!生徒にしっかり強調して教えましょう。
理由付けとしては、時・条件を表すという事で「動作は実際に行われる」とみなして動詞を現在形で扱うと考えられます。理由を聞かれた場合に備えて覚えておく必要はありますが、まずは生徒にどんどん問題を解かせて慣れさせましょう。
時を表す副詞節を作る接続詞としては、
when(~の時), until(~までずっと), after(~の後で), before(~の前に), as soon as(~するとすぐに), by the time(~するころまでに)
が挙げられます。
一方、条件を表す副詞節を作る接続詞としては
if(もし~ならば), unless(~しない限り)
が挙げられます。
それでは例文を2つ見てみましょう。
①The birds will fly south when winter comes. (冬が来ると、その鳥たちは南へ飛ぶだろう。)
②By the time she gets there, it will be nearly dark. (彼女がそこに着くころまでにほとんど真っ暗になるだろう。)
入試などでは太字部分の穴埋め、センター試験では4択問題がよく出題されます。穴埋めの場合は三単現のsをつけさせることが非常に多いので気を付けましょう。もし、余裕があれば②でthereに前置詞が要らない理由を聞いてみるのもいいかもしれません。there は副詞なので前置詞は不要というのもよく出題されます。abroad(海外に)もgo abroad と前置詞が必要ありません。
さて、これだけの単元であれば、数回の演習で生徒は理解し、間違えないはずですが、次のような問題が似たような問題として出題されます。実際のセンター試験の過去問です。
③"Is Bill still using your car?" "Yes, I wonder when he ( ) it."
日本語訳は「ビルはまだ君の車を使っているの?」「うん、いつ返してくれるのかしら」 となります。
実はこの場合、正解は will return となります。なぜかというと、when以降は 疑問副詞when「いつ~か」の名詞節中なので副詞節中ではありません。ということで、現在形にする必要がなく、未来形のままの"will return" が正解となります。次の文もif以降の節は名詞節になるので未来形のままです。
④I wonder if it will rain tomorrow. (私は明日雨が降るのかどうか不思議に思う。)
この場合、if(~かどうか)の名詞節となります。名詞節が副詞節か識別するところまでセンター試験では求められています。しかし、逆にいうと、名詞節になりうる可能性のある接続詞は"if"と"when"の2語です。先生が「これだけで大丈夫!」という事で、生徒も安心感を持ちやすくなります。端的に説明し、出ると分かっている部分はしっかり覚えさせましょう。
副詞句 when ~するとき、 if もし~なら、~すれば
名詞句 when いつ~か、 if ~かどうか
現在完了形
現在完了形(have+過去分詞)では、現在までの「完了・経験・状態の継続・結果」を表します。4つの用法のどれかを見分けるポイントは副詞・前置詞です。まずは4つ例文を紹介します。
⑤I have already spent all my money.(私はもうお金をすべて使ってしまいました。)
⑥I have been to Osaka twice.(私は大阪に2回行ったことがあります。)
⑦She has not been here since last night.(彼女は昨晩からここにいません。)
⑧Andy has just finished his task.(アンディーはちょうど仕事をやり終えたところです。)
⑤は「already(もう、すでに)」という副詞が入っているので「完了」を表し、(~してしまった)という訳になります。完了と結果は一緒に扱われることもあるので⑧も一緒に説明します。⑧は「just(~したばかり)」という副詞が入っているので「結果」を表します。
⑥は「twice(2回)」という回数を表す副詞が入っているので「経験」を表します。ただ、経験の場合は「have been to~」で「~に行ったことがある」を表すので、こちらも頻出ですので強調しておきましょう。実際、先ほどの完了の意味を表す「~に行ってしまった」と並べて出題されることも多い部分です。
⑨I have gone to Osaka.(私は大阪に行ってしまった)
⑨は「行ってしまった」と「現在ここにはいない」という意味を含んでいます。beenとgoneの違いは例文を交えつつ教えましょう。
※実は、「have been to」と「have gone to」には同じ意味として「~に行ってきたところだ」という意味も持っています。この意味を表す場合はbeenでもgoneでも大丈夫です。時々入試でも狙われるので、日本語訳に気を付けましょう。また、混乱を招かないように教える際には細心の注意を払ってください。
⑦は「since(~以来)」という前置詞(接続詞にもなりうる)が入っているので、「状態の継続」を表します。状態の継続を見つけるポイントはsinceとfor(~の間)の2語しかありませんが、使い分けに注意です。
since+(時の一点、または具体的な状況) 、 for+(期間)
since last Sunday (先週の日曜日以来) , for three days (3日間) などとなります。
最後に、「~してからO年になる」パターンを紹介しておきます。
以下の4つの文はすべて「彼女が死んでから10年になる」という意味を表します。
⑩She died ten years ago.
⑪Ten years have passed since she died.
⑫It is(has been) ten years since she died.
⑬She has been dead for ten years.
頻出は⑪と⑫の動詞部分の穴埋めです!!
現在完了形として用いられているのは⑪~⑬ですが、⑩がフォーマルな言い方ですので、紹介しておきます。実際、「死んだ」というのは一時点のことですから、⑩のように「過去の一時点」として文を作っても問題ありません。⑪ではTen years(10年)がhave passed(過ぎた)ということですから、動詞はpass(過ぎる)を用いて現在完了形で「彼女が死んで以来10年が過ぎた」という直訳になります。
⑫では、Itを仮主語として先頭に置いた形です。直訳は「彼女が死んでから10年である。」です。
このis(またはhas been) をpassed にしないように強調しましょう!!
⑬はdie(死ぬ)という動詞が一時点を表し、dyingと進行形にしても「死にかけている」という別の訳に変わってしまいますので、ここではdieの形容詞dead(死んでいる)を用いています。
現在完了形は「状態の継続、完了、経験、結果」の判別も大事ですが、それぞれのなかでもforとsinceの区別など気を付けるところが多いので、受験生の差がつきやすい部分といえます。筋道立てて教えていきましょう。
過去形
過去形は中学英語でも早い段階で学ぶのにどうして頻出なのかと思う人もいるかもしれませんね。実は、先ほどの現在完了形と混同させるような問題がよく出題されています。まずは現在完了形の復習を行います。
現在完了形:「過去から現在につながる」時制
ですので、「現在と切り離された」過去を表す副詞(句・節)とは併用することができません。
つまり、
last Sunday(先週の日曜日) , when(いつ~か) ,接続詞のwhen節(~の時) などは現在完了形を用いることができない、ということです。
例えば早稲田大学の入試問題を取り上げてみます。
( )に入れるのに不適切なものを選びなさい。
I haven't seen him ( ). ①for a long time ②last week ③since January
不適切なものを選べ、ということで注意が必要です。
正解は②last week です。
last week は「過去の一時点」(先週)を表しているので現在完了形と一緒に使うことはできません。これはlast month やlast yearと時間が長くなったとしても一緒です。sinceを前に付ければ正解です。(実際、③はsince January (1月以来)と適切な語句です。日本語訳は「私は彼に(長い間/1月以来)会っていない」となり、現在完了形の「状態の継続」に当てはまります。
もうひとつ入試問題を紹介します。
次の( )に入るのは①~④のどれでしょうか。(東海大)
I ( ) in New York for three years when I was a child.
①have once lived ②lived ③had lived ④have been living
正解は、②lived となります。
まず、when以降の文は(私が子どものとき)と過去の一時点を表すので、現在完了形を用いることができないので①と④は消えます。今回説明していませんが、③の過去完了形は過去の一時点より前の話であれば適用できます。しかし、「子どものとき」と「3年間ニューヨークにいた」というのは「子どものとき」は漠然としていますが、10年ぐらいあるとして、その中の3年間として「同時期」と考えられるので、過去完了形は不適です。以上より、正解は②となります。
このように過去形の出題は単独での出題はそこまで多くないのですが、完了形と合わせて本当に分かっているのかが問われます。学校で習う段階では見た瞬間「この形はあれだ!」として答えをだせるものが多かったとおもいますが、入試問題では「文脈」がかなり重要になってきます。
文脈を考えて解く練習をしておかなければ、正解を素早く導くことができません。生徒のレベルに合わせ、入試問題をどんどんやらせるべきなのか、それとも基本事項の確認を行うべきなのか判断し、授業を行っていきましょう。
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