軽視してはいけない五文型
講師の皆様、こんにちは。今回は英文法の中でも基本中の基本の文型の指導法について紹介します。文型は英語の偏差値が高い生徒でも意外と理解できていないことが多いです。文法問題の時、英作文の時、最も生徒がミスをするのが文型に関するものです。いくら単語と熟語の知識が豊富でも行き詰るときがあります。なぜなら、文型は守らなければいけないルールであり、それが崩れたとき、まるで違う意味を表すことになってしまうからです。ですので、単語帳、文法の問題集を繰り返しやったから大丈夫だと安心している生徒ほど思わぬ落とし穴にはまってしまったりするのです。それに文型を理解していると、スムーズに読解が出来ます。では文型の指導法を紹介していきます。
文型を学ぶにあたり
五つの文型
第一文型 |
s-v |
第二文型 |
s-v-o |
第三文型 |
s-v-c |
第四文型 |
s-v-o-o |
第五文型 |
s-v-o-c |
文型とは
第一文型の説明に入る前に、文型とは何かと言うお話をしておきます。先程は英語と言う言語のルールだと申し上げましたが、そんなことで今時の生徒は納得しません。生徒は文型と言う言葉自体に抵抗を感じてしまっているからです。それに、文型を理解していなくても単語と熟語、また問題をある程度解けば、英語の偏差値は上がるので、文型をしっかり理解していなくても大丈夫だと思ってしまうのでしょう。ですが上のレベルに行けば行くほど文型は必要になってきます。そのことに関しては、のちほど具体的にお話しします。では、文型をどうとらえさせるか。
上の表を見てください。五文型はそれぞれ文の形は違っていますが、英文の中で一番重要な要素は、動詞です。文型とはいうものの実は、単に動詞に五種類の使い方があるというだけのことなのです。
ですから、五文型を理解するためには、それぞれの文型でどのような動詞を使うのかということを、生徒にしっかり覚えさせる必要があります。文型という言葉よりも動詞と言う言葉の方が生徒もなじみ深いと思います。文型を教える際はこのような前置きをすると、生徒もきちんと耳を傾けてくれると思います。
文法用語の省略記号
s=subject 主語
v=verb 動詞
o=objective 目的語
c=complement 補語
vp=verb past 動詞の過去形
vpp=verb past perfect 動詞の過去完了形
英語の参考書を見ると、よくこのような記号が載っています。最近では模試の答えの解説欄にもよく見られます。このような記号を覚えなくていいと考える生徒がいますが、私は覚えた方がいいと思います。確かにこれらはテストの問題には出てきません。ですが、これらを覚えておくと勉強がとてもはかどります。塾の先生でも使う人が増えてきています。なぜなら、この記号を使った方がわかりやすく説明することが出来るからです。生徒もこれらの記号で覚えた方が脳に定着しやすいのです。では少し例を挙げてみましょう。
<仮定法>
仮定法過去の基本構文
<記号あり>If S1 V1p, S2 would V2
<記号なし>If 主語① 動詞の過去形①, 主語② would 動詞②
断然記号ありの方が覚えやすいです。生徒は意味のあること、意味のないことに物事を分けて、覚えるべきことを必要最低限に減らそうとします。ですが一見意味のなさそうに見えることがとても意味のあることだったりするのです。これはテストには出ません。ですが勉強をはかどらせるのに効果的な事、つまり勉強の勉強なのです。
では各文型をシンプルにわかりやすく指導する方法を紹介します。
第一文型
まずは第一文型からです。各文型を教えるときは例文を一つ取り上げ、それを解説していく形をとると、生徒も分かりやすいと思います。では内容に入っていきましょう。
Wendy works in a department store.
ウェンディはデパートで働いている
例文を提示するときはこのような比較的短くシンプルなものがいいと思います。
では、解説していきます。in a department store という<前置詞+名詞>の部分は修飾部分ですから、この部分を取ってしまうと、この文はWendy works という部分が主要素になっていると考えられます。このように、動詞の後ろに何も必要とせず、そこでピリオドを打っても終わってよい動詞のことを自動詞と言います。第一文型では、このような自動詞と呼ばれる動詞が使われているのです。
では、紛らわしい自動詞をまとめておきます。受験間際に生徒に確認してみるといいと思います。
他動詞と間違えやすい自動詞
apologize to 人 (for~) (~のことで)人に謝る
hope for ~ ~を希望する
graduate from~ ~を卒業する
object to ~ ~に反対する
第三文型
第二文型の前に、第三文型を先に教えましょう。その方が生徒も分かりやすいと思います。では例文を挙げます。
We discussed the plan in the meeting.
私たちはその会合で計画を話し合った
第一文型の時と同様に修飾部分を取り除くと、We discussed the plan の部分が、文の主要素になっていることがわかります。このdiscussのような動詞を他動詞と言います。
他動詞の直後には、必ず<~を、~に>に当たる名詞を置かなければなりません。この名詞のことを目的語と言って、この目的語がなければ、discussのような他動詞を使うことは出来ないのです。
他動詞と目的語は二つで一つだということを生徒に覚えさせましょう。
自動詞が使われる文が第一文型、他動詞が使われる文が第三文型であるというと生徒も理解しやすいと思います。では先ほど同様要注意な他動詞を何個かあげておきます。
自動詞と間違えやすい他動詞
marry ~と結婚する
enter ~に入る
discuss ~を論じ合う
approach ~に近づく
mention ~を述べる
attend ~に出席
reach ~に達する
resemble ~に似ている
自動詞と比べて少し多いですね。ですが、どれも入試頻出なのでしっかり生徒に覚えさせましょう。
難関大学の頻出問題では
熟語と文型
冒頭部分ではレベルが上がれば上がるほど文型の知識が必要になってくるといいました。今紹介した動詞はよく熟語とごっちゃになりやすいのです。難関大学を突破するには並の知識量では不十分です。高みを目指す生徒はより多くのことを覚えようとします。ですが、その際にそれらの知識がきちんと整理されないとかえって混乱を招いてしまいます。では例を一つあげましょう。
Emily < > her co-worker last June.
1 married
2 married with
3 got married with
4 married to
< >に入るものが1~4のうち、どれかわかりますか?第三文型を理解できていれば簡単なのですが、~と結婚するは、get married toでも表すことができます。それに似たようなものがいくつかありますね。ここでよく生徒は引っかかってしまうのです。熟語は山ほどありますし、それらを正確に覚えるのは至難の業です。
この問題では、第三文型の1が正解ですが、このような問題が出たとき文型を理解しているだけで、選択肢をせばめられることができます。文型を理解していると、熟語の知識不足を補えることができるのです。
<訳>エミリーは去る六月に同僚と結婚した。
文型の確認
これら二つの文型を説明し終えたら必ず簡単な確認をしてください。一番入試に出るのは自動詞と他動詞の区別です。○×問題、正誤問題、文法の穴埋め問題など、様々な問題で見られます。簡単な○×問題でいいのでさらっと確認してから先に進んでください。
<例>
We discussed about the problem. ○or×
答えはもちろん✖です。
まとめ
いかがでしたか。今回説明した文型、中でも自動詞と他動詞の違いは入試にとてもよく出てきます。その割には問題集ではあまりそのての問題を見かけません。なので本番になると答えられない生徒がとても多いのです。そのような生徒を少しでも減らしたいがために、今回の記事を書かせていただきました。今回の指導法を少しでも活用していただけたら幸いです。残りの文型の指導法記事もすぐに作る予定ですので楽しみにしていてください。