第四文型は文型の中でも最頻出
前回の記事(誰でもわかる英文法 動詞と文型②)の続きになります。前回の記事では第四文型の基本的なルール、注意事項を取り上げました。今回はさらに実践的な第四文型の解説をしていきます。実践的、つまりよく入試、模試で狙われる個所だということです。模試を受けているとき、いつも迷ってしまう問題があると言う生徒がいます。その生徒は一回間違えた個所をよく見直す生徒で、同じ失敗はしないタイプの生徒でしたが、その問題だけは何回も間違えていました。
ではなぜ、その生徒は間違えた個所をいつも復習するのに、その問題に関してはしなかったのか。それはその問題の文法の単元がわからなかったからです。ここでいうその問題とはまさしく今回のテーマ、第四文型に関する問題です。文型の中でも特にひねった形でテストに出てくる第四文型、入試前までには必ず押さえておくべきものです。今回は特に狙われやすい第四文型の問題、またその解説法を紹介します。
第四文型の通常のルールに当てはまらないもの
動詞がbringの場合
前回の記事では第四文型の文でそれぞれに何を重点に置くかによって文の形が決まり、またその文で使われる動詞によって前置詞の形も変わってくるということをやりました。では、復習として簡単な文を挙げます。
相手にものや情報を届かせるとき、届ける相手に重点を置く
<SVO+to+相手>
I lent seven dollars to Bob.
私はボブに七ドル貸した。
相手のために何かをするとき、その利益を受ける相手に重点を置く
<SVO+for+相手>
I made dinner for you.
私はあなたのために夕食を作った。
基本はこれらの形になります。ですが動詞がbringのとき、少し特殊な形になるのです。bringは相手のもとに何かを届かせるという意味合いでも、相手のために何かを持ってくるという意味合いでも使うことができます。なので、前置詞を使う文にするときは意味合いに応じてtoとforを使い分けなくてはいけません。
なのでbringを英作文に用いる際は、自分の作った前後の文脈から考え、toが適切なのかforが適切なのかを判断するように指導してください。
Tom brought me this pen. (トムが私にこの本を持ってきた。)
Tom brought this book to/for me. (私に/私のために)
第四文型で注意が必要な動詞はこのbringと前回の記事で紹介したaskのみです。どちらもよく使われる動詞です。文法問題の時はもちろん、英作文の時も十分注意するように指導しましょう。
書き換え不可能な動詞
第四文型は書き換えられるということで、今まで紹介してきました。ですが。どの言語にも例外と言うものがあります。英語にも、どの文法の単元でも例外があります。第四文型にももちろん例外が存在します。そしてその例外こそが、入試に出てくるのです。これからその例外を紹介していきますが、実際に生徒に教えるときはしっかり今まで説明してきたものを理解しているか一度確認してから、教えてください。基本的なルールがあってこその例外です。基本的なことがわからないのに例外事項を教えても生徒は混乱するだけです。例外事項を指導する際はこのことを徹底して指導して下さい。では内容に入っていきます。
svooを<svo+前置詞+人>に書き換えられない動詞
cost(費用がかかる)、take(要する)、save(省く)、envy(うらやむ)は、SVOOで書かれた文を前置詞を使ったSVOの文型にすることはできません。
This book cost me 2500 yen. この本は2500円した。
The journey took us four days. 私達はその旅に4日を要した。
目的語を2つ続けることが出来ない動詞
say、explain(~を説明する)、introduce(~を紹介する)、suggest(~を提案する)は、どれも目的語を2つ続けることが出来ず、say O to 人、explain O to 人、introduce O to 人、suggest O to 人、という形のSVOの文型で用います。
She suggested a different plan to me.
彼女は私に別のプランを提案した。
確認問題
○or×
This pen cost 200 yen to me.
このペンは200円した。
I explained Tom the rules of the sport.
私はトムにその競技のルールを説明した。
<答え>
答えは二つとも✖です。正しい文はそれぞれ
This pen cost me 200 yen.
I explained the rules of the sport to Tom.
となります。各文法の例外事項は正誤問題で出てくることが多いので、説明した後は、このように○×で確認すると良いと思います。
第四文型の受動態
第四文型の受動態は生徒がよく混乱するものです。なぜかというと目的語が二つあるからどちらを主語にし、また余った目的語はどうすればいいのか分からないからです。受験では、よく並び替え問題として出題されます。並び替え問題は、どの大学の入試でもよく見かけますし、何よりセンター試験では、毎年必ず出題されます。配点も大きいです。必ず確認しておきましょう。
第四文型の文は2通りありますし、目的語が2つあるということは、受動態において主語になれるものは2つあるので、第四文型の受動態はたくさん存在します。その中でどの文が不適切なのかを見極めることがポイントになります。では例文です。
Tom gave me a doll. トムが私に人形をくれた。
まずは、meを主語にしたときどうなるのか、
I was given a doll by Tom.
次は a dollを主語にしてみます。
A doll was given me by Tom.
なんだかとても不自然になってしまいます。これは不適切です。もしa doll を主語にしたいなら
A doll was given to me by Tom.
になります。人を主語にするのであればそのまま(残りの目的語はbe + Vppの後に置く)普通に受動態にし、物の方を主語にするのであれば、前置詞を入れること、これを生徒に覚えさせれば、このての並び替え問題が出てきても、簡単に解くことが出来ます。
まとめ
実際の試験を意識しながらの文型の指導法を紹介してきました。第五文型は特にこれと言ったものがありません。最初に述べたように一番文法問題などで出てくるのは第四文型です。試験に出ないことは詳しくやる必要はないと思います。簡単に、第五文型はこういう文だよと、一つ例文を挙げれば十分だと思います。先程の問題などが入試に出てきたとき、生徒はこんなのやっていないよと思うことが多いそうです。そのように思う問題は、単元で言うと大体文型なのです。文型をおろそかにする生徒は多いです。特に文型自体はそれほど出てきませんが、文型をやっている内にでてくる自動詞、他動詞などがよく狙われるのです。生徒はそれに気づきません。なので私達が教えてあげないといけないのです。どこが狙われやすく、どこを勉強すべきか、生徒は目の前のことでいっぱいいっぱいで、これらのことがわかっていません。なのでより広く見渡せる我々講師がそのような箇所を見つけ、早い段階で教えるべきなのです、そのような箇所が文型であることが多いので、今回、長きにわたってこの連載を書かせていただきました。一人でも多くの講師に役立てていただければ幸いです。