関係詞
今回は関係詞についての指導法記事を書かせていただきます。完璧に理解している生徒はとても少ない文法項目であると私は思います。関係詞が長文内に出てきて、これはこの単語の説明をしているのだなと、意味的には理解している生徒は多くても、文法問題として、完全な文やら、関係副詞やらになった時の正当率と言ったら散々です。関係詞を文法的に理解している生徒が極めて少ないのです。ですが、この部分は文法問題でも正誤問題でも聞かれるところです。いつか理解しようと思っている内に、受験本番を迎えてしまった。そんなことがないように、早いうちから関係詞はおさえさせておきましょう。では内容に入っていきます。
関係代名詞と関係副詞
英語と日本語の最も大きな違いの1つは、英語は名詞を後ろから修飾する、つまり後置修飾することができるということです。このような後置修飾の際には、分詞、前置詞語句、不定詞など形容詞の働きをする用法が使われるわけですが、やはり代表格と言えば関係詞でしょう。
関係詞と言っても様々な種類があり、大きく分けると関係代名詞、関係副詞。更にこの二つにも様々な用法があり、それらを整理して、しっかりと使いこなせるようになることが大切です。とは言っても、それぞれ理解するのにポイントがあります。関係代名詞は主格、所有格、目的格の用法をしっかりおさえること、関係副詞はその後に完全な文が続くことがそれぞれのポイントです。では、具体的な内容に入っていきましょう。
主格の関係詞はwho/which/thatを区別する
まずは、関係代名詞から教えましょう。関係代名詞には先程言った通り主格、所有格、目的格という三つの用法があります。主格、所有格、目的格、この順番で指導してください。英文の順番からして、このほうが生徒も理解しやすいのです。では初めに主格の例文を一つ挙げます。
The person /who completed the task/ was my father.
<その仕事を完了した人は、私の父だった>
この文ではthe person(先行詞)という名詞を、who completed the taskの部分が後置修飾しています。上にある文のように最初は区切って説明したほうが生徒もわかりやすいと思います。関係詞は基本すべて複雑な文です。訳もしっかり理解させましょう。
ポイント
関係代名詞の主格は、先行詞が人の場合にはwho、先行詞が物の場合にはwhichが使われます。また、thatは先行詞が人の場合でも物の場合でも使うことができます。
注意
このような関係代名詞の直後には必ず動詞が続きます。そして、その動詞の形は先行詞に合わせなければなりません。先行詞が単数形や現在形であれば、三単現のsをつけるということです。また関係代名詞の主格はふつう、省略されることはありません。関係詞を勉強しているうちに、省略という言葉が何度も出てきます。文法問題では、この省略がよくねらわれるところなのです。各用法、関係詞を省略することができるかどうかは必ず生徒に覚えさせてください。
では、最後に確認問題です。< >の中に入る適切な語を選びましょう。
Many contractors were ready to give up on the priject, < >would not carried out for many years.
多くの請負業者はその計画を断念する心構えができていた。それは何年たっても実行される見込みがなかったのである。
1、which
2、that
3、where
4、by which
答えは1のwhichです。空所の後に動詞(助動詞)がきているので、ここに入るのは関係代名詞の主格です。それに該当するのは1のwhichと2のthatです。ですが、前にコンマがあるので、thatは使えません。これはよく入試で狙われます。このように問題形式で例外事項を教えると生徒も覚えると思います。また、各用法ごとに必ず確認問題はやらせてください。関係詞は一つずつ理解していかないとすぐにごっちゃになってしまいます。講師の方はこれだけは徹底してください。
生徒の盲点 挿入句
主格の関係代名詞に関して特に注意しておかなければならないことが一つあります。I thinkやyou believeなどのthinkやbelieveの動詞を使った節が、関係代名詞の直後に挿入されることがあるということです。では、一つ例文を挙げます。
Bob is the person who <I believe> is suitable for this job.
ボブは私がこの仕事に適任だと思う人物だ。
この例文では、I believeという節が関係代名詞のwhoと、それに続く動詞のisの間に挿入される形になっています。このように、関係代名詞の直後に挿入される節はなんでもよいというわけではなくて、特定の動詞を使った節に限られます。
その動詞はthink、believe、suppose、know、be sureなどのように、直後にthat節をとることができる動詞です。関係代名詞の用法に関しては、特にこの挿入句に注意が必要です。受験ではよく訳の問題として出題されます。このような訳すのが困難なものは例文を一つ覚えてしまうのが一番いいと思います。挿入句に用いられる動詞自体は簡単なものばかりなので挿入句をどのように訳すか、例文を一つ覚えればこの問題に関してはおおかた対応できると思います。
では、確認問題です。今回は訳してみましょう。
This is the man who they say built the company from the ground up.
<答え>こちらが、一から会社を作り上げたといわれている人です。
中でもよく出題される挿入句を使いました。大学受験なので、確認問題を出すときは同時に少し難易度の高い単語や熟語を用いるのもいいと思います。生徒が覚えていなかったものはノートにまとめさせましょう。そしてそのノートは受験本番前に必ず見ておくように指導してください。
所有格の関係代名詞
次は関係代名詞の所有格です。例えば、<帽子が犬の形をした男>というふうに、先行詞の持ち物を引き合いに出して説明をしたい場合には、関係代名詞の所有格whoseを使います。このwhoseは、先行詞が人の場合でも物の場合でも使うことができます。では例文を見てください。
He has a friend <whose> sister is a singer.
彼には姉が歌手の友人がいる。
この例文では、先行詞a person の所有物であるsisterを引き合いに出して、先行詞を説明してますね。見た通り、所有格は比較的簡単です。物の場合でもwhoseであることを生徒に印象付けるため、物を先行詞とした例文も同時にだすといいと思います。
ですが、この関係詞の所有格も入試に出るのです。先ほど申し上げたように、これは比較的簡単です。特に紛らわしい箇所もないですしね。なので上の例文のように出ることはありません。ではどのような形で問題として出てくるかを紹介します。
書き換え問題
所有格の関係代名詞は書き換え問題としてよく入試に出てきます。
前置詞を使っての書き換え
これは先行詞が物のときの場合のみですが、前置詞を使って書き換えることができます。では例文です。最初に、whoseを使った文、その下に書き換えの文を書くと、生徒も覚えやすいと思います。
<関係代名詞の所有格>
The house whose roof is blue is mine.
<前置詞を用いた書き換え>
The house with a blue roof is mine.
もちろん二つとも意味は同じです。意味は<青の屋根の家が私の家です>になります。やはり物に対してwhoseを用いるのは、もちろん文法的には正しいのですが、ぎこちなく聞こえるので、この表現を使うほうが多いのです。長文内でもあまりwhoseを用いた文は見かけないと思います。
この二つの文を比べると前置詞のほうがシンプルですね。上の関係代名詞のほうは is が二回も出てきて少しややこしいです。英作でこの表現を使いたいときは、前置詞を用いた文のほうが使いやすいと思います。英作文をするときはこのようになるべく簡単な表現を使うように指導してください。それと、withの後にaなどの冠詞を忘れないように生徒に注意させください。最後に、この書き換えができるのは先行詞が物の時のみであることをもう一度生徒に確認しておきましょう。では書き換えの問題を一問生徒にやらせたら、関係詞の所有格は終わりです。
<確認問題>
The car whose front tire is flat is mine.
この文の書き換えと訳を答えなさい。
<答え>
The car with a flat front tire is mine.
前のタイヤがパンクしている車が私の車です。
まとめ
今回は関係詞、その中で特に厄介なもの、入試頻出のものを紹介しました。次回は関係代名詞の目的格と関係副詞を紹介します。この記事を一人でも多くの講師の方に役立てていただけたら幸いです。