関係詞内の区別
講師の皆様こんにちは。この記事は前回の記事(わかりやすい!! 関係詞の指導法①)の続きになります。
前回では、関係詞のなかの、関係代名詞の主格と所有格の指導法を紹介しました。今回は関係代名詞の目的格と関係副詞の指導法を、よりわかりやすく指導する方法を紹介していきます。この二つの単元はとても見分けがつきにくく、関係詞の単元のなかでも、最も生徒が苦戦するところです。
関係詞は主に、関係代名詞と関係副詞に分けられますが、指導する際は関係代名詞の主格と所有格、関係代名詞の目的格、関係副詞と、このように二分して教えた方が生徒もより理解しやすいと思います。関係性のあるものはなるべく一緒に教える。講師の方は英文法を教えるときに、このことを心がけると、生徒も文法問題で狙われる箇所がより鮮明に理解できるようになっていくと思います。
この二つの文法を教えるときは、最初にそれぞれがどのようなものであるかを説明し、その後にその二つを区別させるため、問題演習をさせましょう。この二つの文法はこれは関係代名詞の目的格で、これは関係副詞であるとすぐに区別できるようになることが一番重要なのです。英文法ではややこしいものがたくさんあります。混同しがちなものを、生徒にしっかり区別させたい場合には、口で説明するより、問題を解かせることです。聞いたことよりも問題を解いたほうが脳への定着度がはるかにいいのです。ややこしいものを覚えるにはインパクトが必要です。問題を解いたとき、あってたか、間違ってたか、これがインパクトを生むのです。これは覚えておいてください。では本題に入っていきます。
関係代名詞の目的格
まずは関係代名詞の目的格からやっていきましょう。
先行詞が人の場合はwhom、先行詞が物の場合はwhichが使われます。またthatは、先行詞が人の場合でも物の場合でも使うことが出来ます。しかし実際には、これら目的格の関係代名詞は省略されてしまうことがほとんどなのです。この省略は生徒を混乱させます。どのような場合省略できて、どのような場合出来ないのか、しっかり理解させましょう。例文を挙げるときに省略できる関係詞にはかっこをつけると覚えやすいと思います。では、例文です
I am reading a book(which)I borrowed from the library.
私は図書館から借りた本を読んでいる。
関係代名詞の目的格=不完全な文=他動詞
この文には一つ特徴があります。それはborrowという他動詞の目的語がないことです。実は、この関係代名詞の目的格の後ろには、必ずこのような不完全な、名詞が欠落した文が来なければならないのです。他動詞の後ろの目的語がなかったり、前置詞の後ろに目的語となる名詞がなかったり、必ず名詞が一つ欠落しているのです。
また、この欠落した名詞の部分に先行詞となっている名詞を置けば、完全な文が成立するというルールが必ず成り立ちます。上の文で実際に試してみましょう。
I borrowed a book from the library.
関係副詞
では、次は関係副詞です。関係副詞は、先行詞が時を表す言葉の場合when、場所を表す言葉の場合where、先行詞がthe reasonの場合にはwhyが使われます。それでは例文を見てみましょう。
This is the office where he works.
これは彼が働いてる事務所だ。
関係副詞=完全な文=自動詞
関係副詞の直後に続く文に注目しましょう。workという動詞は自動詞です。自動詞は目的語を必要とせず、そこで終わっても完全な文が成立します。このように関係副詞の直後には完全な文が続かなければなりません。
関係代名詞の目的格と関係副詞が決定的に違う点は、関係代名詞の目的格の直後には不完全な文が続くのに対して、関係副詞の直後には完全な文が続くということです。
速く正確に見極めるには
ではここで、この二つに関する頻出の問題を生徒に出してみましょう。
This is the hospital < > the president visited last week.
(A)where
(B)which
(C)in which
(D)whom
ほとんどの生徒が先行詞のhospitalを見て、これは<場所を表す言葉>だからとすぐにwhereを選ぶと思います。ですが、それは誤りです。これこそがよく出るひっかけの問題なのです。
関係詞の問題を解く際には、必ず後ろに続く文に一番最初に注目させましょう。visitという動詞は主に他動詞として使われ、普通は直後に目的語が続かねばなりません。しかし、この問題ではvisitedの<目的語がない不完全な文>が空所の後ろに続いています。さらに、欠落した部分に先行詞のthe hospitalを当てはめてみると、the president visited the hospital last week のように<完全な文>が成り立ちます。なのでこの問題の文は不完全な文です。関係代名詞の目的格=不完全な文でしたね。なので正解は(B)のwhichとなります。
生徒は完全文か不完全文かがわからない
先程のように説明しても、まだわからないという生徒はたくさんいます。ではどこがいったいわからないのか、それは完全か不完全かを判断するときの他動詞、自動詞です。では、それを素早く区別できる方法を紹介します。
自動詞と他動詞の見分け方
簡単に言うと自動詞は後ろに何も必要とせず、そこでピリオドを打ってもよい動詞のことを言います。このように言ってもまだ理解しきれない生徒はいると思います。なのでもっとわかりやすく言うと、例えばI work in a department store. 動詞はworkですね。後ろには<前置詞+名詞>がきています。先に言ってしまいますが、workは自動詞です。後ろに前置詞がくる動詞は自動詞だと指導してください。だいぶおおざっぱですが、これなら英語の苦手な生徒もすぐに理解できると思います。片方覚えてしまえば、他動詞の説明は不要です。関係詞の問題で出てくる動詞は、なじみ深く比較的簡単なものが多いです。今の説明は少し浅く、例外はたくさんありますが、関係詞の問題には十分対処できます。
では上の問題をもう一度。
This is the hospital < > the president visited last week.
手順としては、まず後ろに続く文の動詞に注目ですね。そしてこれが自動詞か他動詞か。この時、生徒にこの動詞を使った一文、聞いたことある一文を思い浮かべるように言ってください。visitだと、よく中学の時に出てきたI visited Kyotoなどが思い浮かぶと思います。そう言えばvisitの後は前置詞なかったなー、ということはvisitは他動詞か、とここまでできたら、正解はすぐそこです。他動詞=不完全な文=関係代名詞の目的格。正解はwhich。
まとめ
いかがでしたか。この関係代名詞の目的格と関係副詞の区別は穴埋め、正誤といろいろな形で出題されます。必ず解法を覚えさせてください。また、このような紛らわしい単元はほかの単元よりはるかに忘れやすいものです。授業の最初に一問だけ解かせるなど定期的な確認を心掛けてください。それから、先ほど紹介した自動詞と他動詞の判別法ですが、あれはあくまで関係詞の問題、また英語の苦手な生徒を対象とした解き方なので、注意してください。他動詞か自動詞かを見極める文法問題は大学入試で頻出です。自動詞、他動詞を生徒に完璧に理解させるときには絶対に使わないでください。これだけは注意して関係詞の指導を行ってください。
少しでもこの記事を役に立てていただけたら幸いです。