「借りる」に見る英語の多様性
今回は日本語では同じなのに、英語では違う単語で表す語句を分かりやすく指導する方法を紹介していきます。見出し部分の借りるという日本語、皆さんもよく使われる言葉だと思います。いくつか例をあげると、<友達から車を借りた>、<レンタカーを借りた>などなど。この二つは日本語では同じ借りたを使いますね。ですが、同じ借りたでもこの二つの文には少し違う意味合いも含まれています。それは、お金がかかるか、かからないかです。つまり有料か無料かです。英語では有料か、無料かで、それぞれ違う単語が使われます。今回はそういったことを紹介していきます。では最初に取り上げた通り、<借りる>を紹介してきます。。
<借りる>だけでなく貸す>にも注意が必要です。では、簡単に表にまとめてみます。
貸す
lend |
貸す(無料で) |
rent |
有料で貸す |
借りる
borrow |
無料で借りる |
rent |
有料で借りる |
use |
借りてその場で使う |
owe |
借りている |
借りるを表す表現の多さが少し目立ちますが、それぞれの意味を特徴づける部分を太文字にしたのでわかりやすいと思います。生徒に単語の定義を確認させたら、問題を解かせていきましょう。
問題の解き方でだいぶ簡単に
これらを覚えるにあたり、借りるだけでなく、借りると貸す、この二つも混同しがちなものになると思います。ですが、問題の解き方を変えると、多少の混同は解消されます。では、その問題の解き方を紹介していきます。
では、実際の問題をやりながら説明していきます。
We < > an apartment when we lived in Hokkaido, but it was very expensive.
1 borrowed
2 hired
3 rented
4 searched
答えは3のrentedです。考え方としては、このての問題が出てきたら、まず目的語が無料か有料かを考えましょう。有料であれば、それが貸すであろうが借りるであろうが、答えはrentになります。目的語が無料の場合は、貸すか借りるかを文意から慎重に見極めて、それぞれに合わせて、lendかborrowを選ぶように指導しましょう。
訳は<私たちが北海道に住んでたいた時、アパートを借りていましたが、それはとても(賃料が)高かったです。>
では今の解き方を意識してもう一問解かせてみましょう。
Does Emi still have that book she < > from the library.
1 asked
2 rented
3 lent
4 borrowed
まず先程と同様に目的語が無料か有料かを考えます。図書館から借りた本なので、これは無料だと考えられますね。なので、選択肢から2のrentedを消します。その後は貸すか借りるかです。図書館に本は貸さないので、正解は無料で借りたの4のborrowedになります。
訳は<エミは図書館から借りた本をまだ持っていますか。>
その他紛らわしいものの区別
先程の例題が頻出問題になりますが、難関大学には次のような問題も出てきます。
borrow[無料で借りて持っていく]とuse[借りてその場で使う]
If you stay at a big hotel, you can < > their swimming pool.
1 bring
2 borrow
3 play
4 use
正解は4のuseになります。swimming pool は<その場で使う>ものなので、useを選びます。もしこの問題でuseとborrowで迷った時の区別を教えます。動詞borrowには借りるだけでなく、借りて持っていくの意味もあります。最初の表ではわかりやすいように、無料で借りるとしか書きませんでしたが、本来その意味もあるのです。なので、このようなuseとborrowで迷わせる問題が出てきたら、その場で使うものなのか、それとも借りて持っていくものなのか、極端に考えてしまって構わないと指導しましょう。先ほどの問題で、borrowが出てきましたが、あれもより厳密にいえば、図書館から本を無料で借りて、持っていくという意味です。借りた本を図書館の中で読んだら意味がありませんからね。
訳は<大きいホテルに泊まれば、スイミングプールが使えますよ。>
borrow[借りる]とowe[借りている]
借りると借りているは日本語で考えても違いますね。この<借りている>を苦手とする生徒はたくさんいます。例えば、<私は兄に2000円借りている>はI owe my brother 2000 yen.と表現します。<owe+借りている相手+借りている金額>の語順になります。今まで私が紹介したこの手の問題の解き方は、まず一番最初に考えることは無料か有料かということでしたね。ですが、無料、有料以前に、お金そのものが借りる対象になるときはoweが使われます。他にも海外ドラマなどでよく耳にするI owe you.これは<お前に一つ貸しだ>という意味です。これも無料、有料以前の問題になってきますね。ですが、これは入試に出ることはまずないので、oweの後はお金と覚えさせれば十分です。また、oweに関しては、穴埋めだけでなく、並び替え問題としてもよく出題されます。oweの後は人、金額です。簡単な並び替えの問題も一緒に解かせると生徒の理解も一層深まると思います。
I < > Tom some money and must pay him back by this weekend.
1 borrowed
2 loaned
3 owe
4 own
正解は3。<週末までには彼にお金を返さなくてはいけない>のだから、私<I>は現時点、お金を借りていることがわかりますね。なので先程の型、<owe+借りている相手+借りている金額>。
全訳は<私はトムに少しお金を借りていて、今週末までには彼に返さなくてはなりません。>
loan
先程のownの例題で頭のいい生徒はloanと迷ったはずです。loanは貸すという意味ですが、お金を貸すという時、このownと語順が同じなので、パッと見、迷ってしまうのです。この単語を知らない生徒は逆に、すぐにできるかもしれませんが、loanを中途半端に覚えていると間違える可能性が高いです。loanは<loan+貸す相手+金額>で表現します。大学受験ともなると、生徒はできるだけ多くの単語を覚えようとします。ですが、単語を覚えていれば覚えているほど迷いが生じやすい、それが英語です。なので、一つ一つの単語に関してある程度の知識が必要になります。なのでこのような、なじみのない単語が出てきたら、どのように使われるのかを簡単に説明してあげましょう。
Can you loan me 5 dollars?
私に五ドル貸していただけませんか。
実際は、loanは動詞より名詞として使われることのほうが多いです。
<loanの名詞の意味=貸し付け、貸し出し、ローン、借金>
May I have the loan of this magazine?
この雑誌を借りてもいいですか。
また、選択の問題でたとえ答えがわかっても、その選択肢内に知らない単語があったら、必ず調べて覚える癖を生徒につけさせてください。
まとめ
今回は紛らわしい語句として借りるを紹介しましたが、まだほかにもたくさんあります。このような紛らわしい語句は生徒はとても嫌いがちですが、入試頻出のものでもあります。生徒が嫌うものこそ、大学は狙ってくるのです。今回何個か出てきた確認問題も、実際に入試に出たものに少し手を加えたものです。講師の方は生徒に、受験前までには必ず覚えさせてください。これからも時折、このような紛らわしい語句の指導法記事を発信していくつもりです。一人でも多くの講師に方に役立てていただけたら幸いです。