区別がつきにくい 時を表す2つの表現
生徒のテストの採点、質問対応などをしていると、時を表す表現をしっかり理解できていない生徒が多いなと思います。
大体、時を表す表現で混同するのは2つの単語においてなのですが、そのような2つ、どちらかで迷ってしまうような表現がたくさんあるのです。時を表す表現は、英語においてとても大事なものです。もし意味をはきちがえてしまったら、長文読解の時も、英作文の際にも、大変なミスにつながってしまう可能性は大いにあります。
なので、講師の方に、生徒がこれらのことをしっかり理解できているか再確認していただきたいがため、この記事を書かせていただきました。
時を表す表現には混合しやすいペアがたくさんあります。問題を見ながら、区別して頭に入れさせていきましょう。では、どんどん紹介していきます。
until[till]~<~までずっと>とby~<(遅くとも)~までには>
センター試験で問われる、時に関する表現の中でも、この2つの区別は最頻出です。これほど繰り返し出題されるのは、間違える人が多いからです。生徒にしっかり区別させましょう。
until[till]~は<~までずっと>という継続を表し、by~は<(遅くとも)~までには>という終了の時期、時刻を表します。型は次の通りです。
後に名詞がくる場合 |
後にSVがくる場合 |
|
until[till] |
until[till]+名詞 |
until[till]+SV |
by |
by+名詞 |
by the time+SV |
では、実際に問題を解かせて、理解を深めさせましょう。
<問題>
I'd be grateful If you could answer this letter < > the fifteenth of this month.
[by/by the time/till/until the time]
正解は最初のbyです。
tillを入れると<今月の15日(the fifteenth of this month )までずっとこの手紙に返事を出す>になってしまい、不自然だと分かります。なので意味から考えればbyです。< >の後は主語、動詞ときていないので、接続詞のby the time ではないことがわかります。このように訳と文の型、答えを出すためには両方の要素が必要になってくるので、しっかり上の表を覚えさせてください。たまに簡単な表の穴埋め問題などをやらせるといいと思います。
訳は、
<(遅くとも)今月の15日までには、この手紙にお返事をいただけるとありがたいのですが。>です。
では次の問題はどうでしょうか。
<問題>
The restaurant opens at 7:30 and serves breakfast < > 9 o'clock.
[within/by/till/for]
正解はtillです。
9時までずっと(till 9 o'clock)朝食を出す(serve breakfast)。そのレストランは、9時までずっと継続的に朝食サービスをしているので、答えはtillになります。
訳は、
<そのレストランは7時30分に開店し、9時まで(ずっと)朝食を出します>です。
この2つは、日本語では意味は違いますが、どちらも<~まで>と訳します。だから区別がつきにくいのです。ここは漢字ですっぱりと、until[till]は継続、byは終了の時刻と覚えさせた方が生徒も覚えやすいと思います。
still[相変わらずそのまま]とyet[これからまだ]
stillとyetも両方とも<まだ>と訳せるので、混同してしまう生徒が多いようです。ここでしっかり区別しておきましょう。この2つは分けて説明した方がわかりやすく指導できます。
まず、stillは<相変わらず(まだ)><それでもやはり(まだ)>という日本語に近いのです。
<周りのものが動いているのに、そのものやそのことは相変わらずそのままであること>を表します。竜宮城から戻った浦島太郎の気持ちを想像してみてください。それがstillの意味の本質を伝えてくれます。
これを言うと生徒はよく理解してくれるはずです。また、stillは形容詞で、じっとしているという意味もあることと関連づけて覚えさせると良いでしょう。例えば、<じっと座っていなさい>は”Sit still”と表します。なおstillは現在完了で用いられることが多いです。
<問題>
I heard you < > haven't finished your homework. The teacher is going to be very angry.
[already/so far/still/yet]
答えはstillです。
(かなり時間が経過したのに)相変わらず(まだ)ということです。
訳は、
<君は相変わらずまだ宿題を終えていないと聞いたよ。先生はすごく怒るだろうね>です。
yetは<しなくてはならないことが、まだ途中であること>を表します。Not yetは<まだ(yet)~していない(not)>と訳せます。yetという語の本質をつかむためには、一度その文を頭の中で<しなくてはならないのだけどね>と訳してみると良いと思います。
<問題>
What do you want to do after you graduate ?
< >
[I haven't decided yet/ I'm still not deciding/ I still don't decide/ I was't decided yet]
正解は一番最初の I have't decided yet .
< 決めなくてはならないんだけどね>という気持ちが込められていますね。
訳は、<君は卒業した後何がしたいの?>
<まだ決めていないんだ> です。
during+名詞(~の間)とwhile+SV(~の間)
duringとwhileの違いは、後にくる型の違いにあります。duringのあとには名詞が、whileの後にはSVがきます。訳での違いはないので、このそれぞれの型は必ず覚えさせましょう。また、一つ注意しなくてはならないことがあります。それは、during+名詞といっても、during+動名詞はありえないということです。
<問題>
Tom suddenly began to feel nervous < > the interview.
[during/by/while/until]
正解はduring。
次がthe interview(その面接)という名詞なのでduringを選びます。
訳は、<トムはその面接の間に突然緊張し始めました。>です。
ago<今から~前>とbefore<・・・から~前>
~agoは<今から~前>、~beforeは<(過去のある時)から~前>と考えれば簡単です。それぞれ、いつから前のことなのかを考えることが重要です。特にagoは必ず<今から>を入れて考えてください。
<問題>
You are late. The game finished < >.
[before 10 minutes/since 10 minutes/10 minutes ago/10 minutes before]
正解は右から二番目の10 minutes ago。
<今から10分前>とすれば意味が通りますね。
訳は、<君は遅刻だよ。試合は(今から)10分前に終わったよ>です。
今回はここまでです。まだあるので、近いうちに続きを発信します。受験生は今、詰め込みの時期です。だからこそ、混乱が生じやすい時期でもあるのです。覚えたものがこんがらがらないように講師の方はサポートしてあげましょう。一人でも多くの講師の方に、この記事を役立てていただければ幸いです。