動詞を理解する重要性
動詞を理解しないと、日常会話もままなりません。日本語だって英語だって、それは同じです。日本語には概念、be動詞というものが、動詞の学習を難解にしているのは間違いないでしょう。どちらがどういうもので、という決まり、ややこしくはありませんでいたか?
そんな動詞の基礎、動詞とは何かについてと、動詞を使った否定形の文章と疑問形の文章についてこのページでは書いていきます。
あらゆる範囲に大きく関わる分野だからこそ、基礎は早い内にしっかりできるようになっておきたいですから。
そもそも動詞とは?
筆者は基本的に、英語の新しい文法が出てきたり、ニュアンスが出てきたり、とそういった時には日本語にあてはめて教えたり、きっかけを掴めるようにしています。
一般動詞
一般動詞、という位ですから、「一般的な」「動詞」なのです。つまり、普通に動詞と思える物を指すと思って相違ないでしょう。では動詞とは何か、と話が移行するわけですが、動詞は文法の中でも分かりやすいものです。「動」という感じが使われるくらいですから、これは「動作」の事だよと教えてもそれが通じない生徒は少なくとも見た事はありません。
動作、つまり「投げる」「食べる」「飲む」「書く」「開く」「座る」等々、挙げだしたらきりがないのも特徴の一つです。後述するbe動詞は(現在形は)3つでしたから、雲泥の差といえるでしょう。
be動詞
be動詞は、すこし特殊な動詞でしたね。
「私は学生です」
「彼女は美しい」
「これはペンです」
「彼らは賢い」
などなど、「○○は××だ」というような文章を作るときに用いられるものでした。見て分かる通り、動作を表すものではありません。つまり、be動詞の文章は日本語で言うなら「動詞が無い」文章であるというのが正確な所になりますが、英語の文章では動詞が無い文章は基本的にありません。文法上の決まりです。ですから、動作ではないけれど便宜的に文法を保つために入れる動詞が、be動詞だ、という事になります。
この二種類の動詞をそれぞれ使っていくと、文章の作り方は、どのように違ってくるのでしょうか。
ここで例文を一般動詞とbe動詞で一つずつ用意します。
You study English.(あなたは英語を勉強する)
You are a student.(あなたは生徒です。)
ここでの動詞は「study」であり、日本語では「勉強する」の意味を持ちます。まずは何が動詞で、日本語でもそれが確かに動作を表している事を確認しましょう。
対するbe動詞はやはり動作ではありません。「~である」という意味をbe動詞が担っている、という事だけが推察できます。
生徒の認識はまだ、「どっちのパターンでも主語の後には動詞が来るのか」というもので全く問題ありません。問題は、この文章を否定形に変換する時に起こります。
否定形
一般動詞の否定文と、be動詞の否定文。どちらも同じく否定の意味を持つ事になりますが、文章の形が大きく異なる事は、ご存じの事と思います。それでは例文を否定文に直してみましょう。
一般動詞
否定形にする、といっても普通は何をすれば良いのか分からない筈ですから、まずは日本語で否定の文章を作ります。元の文章が
You study English.(あなたは英語を勉強する。)
ですから、否定に直すと、
「あなたは英語を勉強しない。」
という意味になります。その上で、否定の文章を書きましょう。
You don’t study English.
となりますね。ではこれを、元の肯定文と比較してみます。
You study English.(あなたは英語を勉強する。)
You don’t study English.(あなたは英語を勉強しない。)
となり、don’t(do notの省略)が「勉強する」を「勉強しない」に変化させたことが理解できます。何故なら、肯定文と否定文の間にある違いは、動詞の直前にdou’tがあるかないかだけだからですね。つまり、一般動詞の否定文は、「動詞の直前にdon’tを入れる事で成立する」という事が分かります。
be動詞
同様に、日本語の意味を考えさせてから、正答を教えます。
You are a student.(あなたは生徒です。)
You are not a student.(あなたは生徒ではありません。)
当然、違いはたった一つだけ、「not」の有無です。つまり、「be動詞の後にnotがあるか無いかの違いが、肯定と否定の意味を分けるポイントになる」という事です。
両者の違い
では、この両者の違いを見ていきましょう。どこに違いがあると認識すれば覚えやすいでしょうか。
まずnotとdon’tの違い。そして入れる位置が動詞の前か後かの違い。これが、否定形におけるbe動詞と一般動詞の違いになります。
どちらかだけを学習しているのなら或いは簡単だったかもしれませんが、どっちがどういう規則で文章を作ればよいのか、迷ってしまう所にもなります。両者を比較して、違いを明確にしましょう。
疑問文
では、次は疑問形です。疑問形の話をする時は、筆者は必ず「疑問、ってそもそも何ですか?」と聞くようにしています。「問題」とか「質問」とか「分からない事」とか、色々な答えが返ってきますが、皆目見当も付かない、なんてことは今まで見た事はありませんし大丈夫でしょう。
こうする事で、生徒はこれから自分が英語で何をするのかを認識します。それと同時に、「クエスチョン・マーク」の印象を付ける事にも繋がります。黒板に「?」と大きく書いて、「これから作るのは?マークがつく様な文章だ!」とやるとちょっと興味を持ってくれますよ。
一般動詞
まずは否定形の時と同じように日本語での意味を明文化します。
You study English.(あなたは英語を勉強する。)
を変換しますから、
「あなたは英語を勉強しますか?」
という意味の文章になります。
英文にすると、
Do you study English?
となりますね。これを元の文章と比較しますから、
You study English.(あなたは英語を勉強する。)
Do you study English?(あなたは英語を勉強しますか?)
という比較が出来ます。
すると、疑問文は分の頭にdoがあり、それ以外は語順もそのままである事が分かります。つまり、一般動詞の疑問文は「肯定文の文頭にDoを置き、文末に?マークを付けただけ」だという事が分かりますね。筆者はよく、この文頭のDoを隠して、
「Doが無くなると、ただの肯定文に戻ります」
という事を伝えています。
というのも、とても単純なこの文法ではありますが、やはり間違えてしまう生徒も決して少なくはありません。なので、文章を作った時にそれが正しいのかを確かめる指標が1つあった方が良いと思っての事です。文章の途中にbe動詞が入ってきてしまったり、語順を滅茶苦茶にしてしまう生徒が、算数でいう検算のような事が出来るようになると思います。
be動詞
同じく、日本語の意味を作り英文にします。
You are a student.(あなたは生徒です。)
Are you a student?(あなたは生徒ですか?)
be動詞が「主語の後」から「文の先頭」にきています。代わりに押し出されたような形で、主語やその他の単語が後ろに並んでいます。言い方を変えると、「be動詞と主語の位置が入れ替わって、他の単語はそのまま。そして文末に?を付ける。」という事が言えます。
一般動詞の肯定文を疑問文に変換するやり方については述べたとおり、非常に単純なものでした。では最後に、be動詞との比較を行い、まとめに入っていきましょう。
両者の違い
一般動詞では「文頭にDoを付ける」だったのが、be動詞では「be動詞を文頭に移動する」のでした。やはり大きく異なっているのがわかります
どちらも文頭に変化がありますが、新しくDoを付けた一般動詞に対して、もともと文中にあったものを文頭にまで移動させているのがbe動詞です。否定形の時と同様、ここで身に付けなくてはならない分野です。何度も繰り返して、考えなくても解けるくらいにまでしておきましょう。
さいごに
動詞の否定、疑問形について、be動詞と一般動詞とで比較しながらここまで進めてきましたが、いかがだったでしょうか。
「一般動詞の文章の否定文は、動詞の直前にdon’tを置くだけで、他はそのまま」
「be動詞の文章の否定文は、be動詞の直後にnotを置くだけで、他の単語はそのまま」
「一般動詞の文章の疑問文は、文頭にDoを置くだけで、後はそのまま」
「be動詞の文章の疑問文は、be動詞を主語の手前に移動して、後はそのまま」
という事が、しっかりと分かるような教え方をしていかないと、今後の英語が何もできなくなってしまいます。多少時間がかかっても、この分野は時間をかけて根気強くやっていきましょう。
教える時に大事な事が1つあります。肯定文から否定文や疑問文への変化を伝える時に、文章は確かに変化します。変化しているところがどのように変化しているのか分からないと、それは勿論解けません。ですので変化はとても大切なのですが、「変わっていない」部分がとても多い事も併せて伝えましょう。単純に「これを付けるだけで良い」と覚えやすい効果も勿論ありますが、なにより「あ、簡単なんだな」と生徒が思い、英語に対する抵抗感を薄くできると思っています。
筆者自身もとても英語が苦手で、どうしても高すぎるハードルに感じていました。(今もあんまり低くは見えませんが……) そのハードルを少しでも上げられるように、内面的な壁を取り払う事も、意識してみてください。