資本主義?共産主義?社会主義?現役社会科講師がわかりやすく解説します!
もくじ
はじめに
情報局をごらんの皆さん、こんにちは。
情報局ライターのスペンサーです。
突然ですが、皆さんは「資本主義」とは何かを誰かに説明することができますか?
社会を教えているときに、「これは資本主義の国と・・・」と説明をすると、必ずと言ってよいほど生徒から
「先生、資本主義って何ですか?」
という質問が飛んできます。
この質問に、戸惑ってしまったこと経験のある方は多いのではないでしょうか?
自分ではわかっているつもりでも言葉にするのが難しいこと、結構ありますよね。
さらに、「資本主義」への質問に答えるために「資本主義というのは私有財産制を認めていて・・・」
「先生、私有財産ってなんですか?」
とまた、質問が飛んできてしまいます。
中学生の目線でわかりやすく、専門的に学ばせるにはどうしたら良いのでしょうか?
本稿では具体例で示したように
「資本主義」「社会主義」「共産主義」の言葉の違いをわかりやすくご紹介します。
これらの用語は、生徒は中学校の社会科で初めてしっかり学びます。
言葉の意味を説明できるくらい理解しておかなければならないのは理由があります。
高校で学ぶ日本史や世界史、そして公民は「資本主義」が必ずキーワードになってくるからです。
歴史に絞って言えば「近代」以降は「資本主義」を理解していない限り絶対に時代像がつかめません。
ぜひしっかりと押さえていきましょう。
1. 「資本主義」と「社会主義」と「共産主義」の違い
まず、最初に押さえておきたいのはこの3つの用語は国の経済への考え方を表している言葉である、ということです。
経済スタイルの違いは、そのままその国の政治思想にも大きな影響を与えています。
まずは、資本主義から見ていくことにしましょう。
「資本主義」
資本主義とはどういう意味でしょうか?大辞林第三版から引用すると、
封建制以後に支配的になった生産様式。蓄積された富や貨幣という素朴な意味での資本は,古代から存在する。だが資本主義とは、労働力を商品化し、剰余労働を剰余価値とすることによって資本の自己増殖を目指し、資本蓄積を最上位におく社会システムに限定すべきである。
引用元:大辞林第三版
です。これでは具体的に何がどうなっている状態なのか?
初習の中学生にとってはイメージがつかみづらいと思います。
社会を専門としてきた私でも、正直中々このように説明することはできません。
そこで、目線を中学生に合わせた指導を模索するのですが、ここでは生徒にとっても生活経験のある身近な物に置き換えます。
まず、「資本」というのは「お金」のことです。これは、100円や200円といった小さな額ではなく、例えば会社を立ち上げるためのようなある程度大きな金のことですね。
「私有財産を認める」とはつまり、「資本」を自由にもてる状態のことを意味しています。
よく「外資」という言葉を聞きますが、あれも「外国資本」、つまり外国企業がお金を出して立てた会社ということなのです。
つまり、ある程度大きなお金を持っている人がそのお金を元手にして、「利益」を追求することを認める、経済活動が自由な制度のことを指しているわけです。
日本は資本主義経済ですので、生徒たちの誰もが資本を元手にして自由に会社を作ることが出来る。
このような経済制度を指します。
現代の日本に生きる私たちはずっと資本主義経済の中に生きているので、この説明をすると「そんなの当然ではないか」と思うかもしれません。
ですが次の「社会主義」というシステムを説明すると、これが当たり前の経済制度だと思わなくなるでしょう。
社会主義
では次に、「資本主義」の影の部分に焦点あててみましょう。
「資本主義」では私有財産を認め、自由な経済活動を認めていますが影の部分はないのでしょうか?
具体的に「会社」を作った場面をイメージしてください。
「会社を作ってからしなければならないことは何ですか?」
と考えてみてもいいかもしれません。
会社を作ったら今度は「会社を維持しなければならない」ですよね。
しかし、言うは易く行うは難し。
自由な経済活動を認めていると、社会の中でライバル会社や為替の中やその他様々な要因の中で会社を存続させていかなければなりません。
自由な経済活動を認めていると必ず競争があり、それに生き残れる会社は良いのですが、致し方なく倒産してしまう会社もあります。
こうした倒産が相次げば、社会全体の失業者は増え、経済力も滞ります(=不景気になる)。
このような状態を招いてしまうのは経済制度が「資本主義」だからではないか?
こうした流れで「社会主義」の説明に入ります。
「社会主義」は「資本主義」の今述べた影の部分を作らないようにしようとする経済制度の考え方です。
社会主義とはどう定義されるのでしょうか?大辞林第三版から引用すると、
①
資本主義の生み出す経済的・社会的諸矛盾を、私有財産制の廃止、生産手段および財産の共有・共同管理・計画的な生産と平等な分配によって解消し、平等で調和のとれた社会を実現しようとする思想および運動。共産主義・無政府主義・社会民主主義などを含む広い概念。
②
マルクス主義において、生産手段の社会的所有が実現され、人々は労働に応じて分配を受けるとされる共産主義の第一段階。
引用元:大辞林第三版
つまり、「資本主義」のように個人や民間に任せると、過剰生産が起こったり弱者は倒産に追い込まれるなどの事態が起きてしまう。
であるならば、経済活動を「社会」で管理しようとする考え方です。
この場合の「社会」とは具体的に言い換えれば「国」のことですね。
「国」で経済活動を管理する。
つまり、すべてを国営企業にすれば不景気が起こらないようにコントロールできる。
これが社会主義の考え方です。
共産主義
ここまできたらあともう1歩です。共産主義の説明に入ります。
「資本主義」「社会主義」という言葉でも語句の定義を提示したのでここでも大辞林の引用から入ります。
①
財産の私有を否定し、すべての財産を共有することによって、平等な理想社会をつくろうという思想。ギリシャ時代のプラトンあるいはトーマス=モアのユートピアなどにもみられるが、現代では主として、マルクス・エンゲルスにより確立されたマルクス主義思想をさす。
②
階級対立のない共同社会。広義には、プロレタリア革命によって権力を獲得した労働者階級が生産手段の社会化をなしとげて築く、社会主義と呼ばれる低い段階と、狭義には、そのもとで発展する高い生産力によって、「各人は能力に応じて働き,必要に応じて受け取る」という状態が生まれた高い段階の社会をさす。
引用元:大辞林第三版
もう、ここまで来るとだいたい内容もわかってきますね。
「共産主義」は「社会主義」をより高次にしたもので、「社会主義」がうまくいけば皆豊かになる。
豊かになればもう戦争のように争うことはない。国の枠組みすら必要なくなるという考え方です。
社会(共産)主義の問題点と良い影響
問題点
一見、「社会主義」さらに言えば「共産主義」は理想のような状態に聞こえますが、実はそれほど簡単な話ではありません。
「社会主義」システムを採用した(しようとした)国家では私有財産を認めないため、給料をおしなべて同じにするということがありました。
そうするとどうなるか?一生懸命働いていても、サボってしまっても給料は同じ。
当然一生懸命働いている人は馬鹿馬鹿しくなり、同じようにサボってしまいます。
すると国全体の生産力は落ち、社会主義や共産主義の理想の本末転倒が起こるのです。
良い影響
専門的には意見がわかれるのですが、良いと言われる影響を1つ言及します。
資本主義国家の「資本家」は、社会主義革命のようなことが起こらぬよう「労働者」が満足できる職場環境を作るようになったと言われています。
様々な策がありますが給料などはその最たる例です。
2.まとめ
後輩の社会科講師からよく
”「資本主義」「社会主義」「共産主義」という言葉の説明をすることが出来ても、理解させることが難しい”
という相談を受けました。
その経験が今回の記事を書く動機となりました。内容はいかがでしたでしょうか?
もし、3つの言葉の意味が曖昧になっていた場合、本記事を参考にしていただけましたら幸いです。
皆さんのご活躍をお祈りしています。ここまでご精読ありがとうございました!
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