最上級でのポイント
前回の記事(URL:http://www.juku.st/info/entry/1035)では、as~as構文と比較級で特に生徒が敬遠しがちな箇所の、わかりやすい指導法を紹介しました。
今回は最上級のポイントを紹介していきます。
まず、最上級ならではのものと言えば、一度比較の単元をやったことのある生徒ならすぐに答えられるはずです。theですね。何が一番なのかを表す単語のまえに必ずtheを置きます。では、前回の記事の復習も踏まえて最上級の注意すべきポイントの一つ目を紹介します。
比較の構文はいたってシンプル
比較の構文(as~as構文、比較級、最上級)はどれもシンプルな文の構造であるということを、比較を教える前に必ず指導しましょう、ということを前回の記事で紹介しました。覚えていない方、読んでいない方のために簡単にもう一度説明します。例文を見てください。
I am as tall as you.(私はあなたと同じくらいの背の高さです。)
主語、動詞ときて、比較表現になる、本当に簡単ですね。そして比較と言っても、ただの優劣ではなく、どのくらい勝っているか、劣っているかなどの程度を表す表現を用いるときもあるので、その時は、動詞と、比較表現の間に挿入します。
I am twice as tall as you.(私はあなたより二倍背が高い。)
もちろん最上級も
He is the tallest of the three.(彼は三人の中で一番背が高い。)
まず主語、動詞、そして最上表現、同じことが言えます。さらに最上級は一番であり、程度も何もないので、その点少し楽に感じます。
注意点
最上級において、生徒がしがちなミスは、名詞の位置です。
<二月は一年の中で最も寒い月です。>
×February is the coldest of a year month.
×February is month the coldest of a year.
○February is the coldest month of a year.
名詞がある場合は、~estの後にきます。<一番~である名詞>ということですね。最上級を<一番~>と訳すように指導すると、名詞の位置を簡単に理解することが出来ると思います。
また最上級で長い文、mostを使う文になるとmostの前にtheを付け忘れる生徒が非常に多いので注意させましょう。~est、mostが出てきたら、必ずtheを付けることを、繰り返し指導してください。ですが、なぜ最上級だけtheなんてつけなくてはならないのか、そう疑問に思う生徒も多いはずです。納得しないことが出てくると、その分覚える気もなくしてしまいます。そういう決まりだから、で済ませないように講師の方は気を付けてください。
theを付ける理由
theの説明を講師の方はどのようにしていますか?
ここで冠詞のtheの説明をしてしまうと長くなってしまうので簡単にいきます。
どの参考書を見ても、載っていることは大体同じことです。
それをまとめれば、話している人、聞いている人が指をさせるもの、となります。
the sunやthe worldなどは一つしかないので、だれでも指をさすことが出来ますよね。
教え方は講師の方がそれぞれ自分がいいと思った教え方でいいと思います。
theの指導には毎度苦労する、という講師の方は参考にしてみてください。では、本題です。なぜ最上級の前にtheをつけなければならないのか、それは指をさせるものだからです。例文を見てください。
This dog is the largest of the five.
(この犬は五匹の中で一番大きい。)
最上級の文では必ず最後に範囲を示す語(of the five)がこなければいけません。
その範囲の中で一番であると言っているのです。
しっかりと何の中で一番なのかを表しているので、この五匹の中で一番大きい犬はと聞かれたら、だれでも指をさすことが出来ると解釈できるはずです。だからtheがつくのです。
なるほどと生徒が思うと、その分、脳に定着します。なにより納得しているので、覚えることへの抵抗がなくなるはずです。こういう決まりだから、この言葉は講師の方は極力使わないように心がけてください。
では、生徒はこの単元のどの部分に苦戦するのか、またその部分の指導法も合わせて紹介していきます。
比較とlike
比較の文(比較級、最上級)で狙われるものは何かと聞かれたら、私は動詞のlikeと答えます。
likeの意味は好きで、どっちが好きか、などと日本語でもよく使いますよね。
そのような日本語でよく使われる表現がテストにでるのです。
それでは内容の説明に入っていきましょう。
likeが狙われるのは唯一例外的な文の構造をしているからです。
<比較級>I like dogs better than cats.
(私は猫より犬の方が好きです。)
<最上級>I like appeles the best of all fruits.
(私はすべての果物の中でリンゴが一番好きです。)
主語、動詞、名詞、比較級と、これだけは間に名詞がきます。先程簡単に説明した基本的な構造を理解させたうえで、この例外的なlikeを教えましょう。
また、よく問題で出るのは疑問文、その答え方の穴埋めです。合わせて確認しておいてください。
<比較級>Which do you like better,soccer or baseball?
(サッカーと野球では、あなたはどちらの方が好きですか。)
I like soccer better.(サッカーの方が好きです。)
<最上級>Which month do you like the best?
(あなたはどの月が最も好きですか。)
I like June the best.(私は六月が一番好きです。)
二つの区別と二つの暗記
ofとinの区別
では、区別から参りましょう。この二つの前置詞は最上級の文では必ず使います。何の中で一番なのか、その範囲を表すために用います。なので、しっかり区別できていないと英作文も穴埋めもできません。この区別に苦戦する生徒は非常に多いです。ですが、二つの区別なんて簡単です。どちらか一つ覚えてしまい、もう一方はそれ意外と覚えてしまえばいいのです。
of➡数字、allが続く of the five、 of them all
in➡それ以外 in his class、in my family
例も同時に挙げるとさらにいいと思います。
ofの方では数字の前にtheをつける必要があります。
なぜなら、先程説明したように、どの五匹かというのも特定する必要があるからです。
また代名詞の位置、of them all、of us all、も確認しておきましょう。
代名詞を覚えきれていない生徒がいたらまずいので、何人か指して、I my me mineを言わせてみましょう。言えなかった生徒には代名詞の一覧表を配って毎週個別にテストしましょう。
それほど、代名詞は重要なものだからです。この重要性に関しては言うまでもないと思います。
二つの文の暗記
受験で超頻出問題がこの二つの構文です。この二つの文は暗記と言うより、理解させることができます。
<比較級+than any other+名詞の単数形=ほかのどの~よりも~>
He is taller than any other boy in his class
(彼はクラスの他のどの少年よりも背が高い。)
このanyはどの~という意味で、クラスの中の一人、一人の少年と比べているのです。だから名詞が単数形になるのです。また、この文は書き換え問題でよく出ます。上の文の書き換えを生徒にやらせてみましょう。
He is the tallest boy in his class.
構文がでてきたらただ覚えさせるのではなく、実際どのような問題で出るのか、またその形式で問題を解かせることが重要です。
<one of the +最上級+名詞の複数形=最も~な~の一つ>
Tokyo is one of the biggest cities in the world.
(東京は世界で最も大きな都市の一つです。)
二つ目の文でなぜ名詞の複数形になるかは、~のうちの一つ、つまり最上級のものが複数あるということです。そのように解釈させれば、すぐに生徒も覚えられると思います。このような長い暗記も覚えろで済ませるのではなく説明できるところは説明しましょう。
まとめ
長い文を読んでいただきありがとうございました。一人でも多くの講師の方にこの指導法を役立てていただけたら幸いです。