英語の疑問詞
私たちが学ぶ英語もまた、日本語と同じく大勢の人に使われている一つの「言語」です。ですから、基本的な部分は同じように考える事が出来ます。例えば、名詞。例えば、動詞。これらの意味するものは日本語も英語もほとんど同じです。
英語である時点から非常に重要なものとして学習する疑問詞も、日本語の中に類似するものを持つ概念の一つです。もっとも、日本語の方は学習する時にはなかなかそのようには認識していないのが実情だと思いますが。日本語を使いながら日本語の文法を意識している人は普通いませんからね。
さて、そんな疑問詞についてです。実は考えようによっては非常に簡単かつ単純な事が分かる範囲でもあります。多くの中学一年生はここに入った時非常に嫌な思いをするでしょうが、それは必要の無い苦しみなのです。そして重要な範囲でもありますから、中間試験や期末試験ではこれが出来ているだけで大きな得点源にもなりますし、その後の英語の学習においては必要不可欠。ここの理解は一石何鳥にもなるのです。
注意事項:5W1H
5W1Hという言い方があります。よく疑問詞をひっくるめた言い方として言われるものであり、
Who
What
When
Where
Why
How
の事を指しています。
これら6種類の内5つがWから始まり、1つがHから始まる事からこのように呼ばれています。勘違いされがちですが、疑問詞はこの6種類だけではなく他にもいくつか存在しています。これで全部、のような言い方はしないように気を付けましょう。
疑問詞とは
さて、疑問詞はその名に疑問と言う文字を関する通り、疑問文を作ります。疑問文とは、クエスチョンマークで終わる相手に答えを要求する文章でした。
疑問文が無くても、これまでbe動詞の場合と一般動詞の場合とで疑問文を作ってきたことがある生徒達に、「疑問詞は疑問文を作ります」と言ってもいまいちぴんと来ないであろうことは容易に想像できるでしょう。理解の為には、疑問文が使われることによってこれまでには無かった要素が付加されることを、明確に示してあげる必要があります。
そこで、一つの例文を用意しましょう。
You study English.(あなたは英語を勉強します。)
仮に、このような文章を設定したとします。
この文章が肯定文であることは勿論分かると思いますので、この文章をそのまま疑問文に変えてみましょう。つまり、「あなたは英語を勉強しますか?」という意味の英文を作らせます。すると、しっかりとこの範囲を理解している生徒であれば、以下のようになるでしょう。
Do you study English?
そう、肯定文の文頭にDoを付けるだけで、肯定文の意味をそのまま疑問文に変換する事が出来ました。
では、この疑問文に対して疑問をぶつけられている側である「You」は何と答えるでしょうか。「勉強するかしないか」としか聞かれていないのですから、答え方は「Yes/No」の二種類しかありえません。勿論これはbe動詞の文章であっても同じです。それまでに学習してきた疑問文とは、答え方が「はい」か「いいえ」の二通りしか存在しえない疑問文なのです。
疑問詞の使い方
そしてここで疑問詞に目を向け直しましょう。
ここでは「When」を使いますが、他のどの疑問詞を使っても考え方は同じです。Whenは「いつ」という時間、時期などを問う疑問詞です。ですので、「あなたはいつ英語を勉強しますか?」という疑問文を作る事になります。
When do you study English?
という文章が正解になりますが、大事なのはこの文章がどのように作られているのかです。
重ねてになりますが、初めに言った通り英語は「言語」なのです。言語は日常的に使われるものであって、複雑にしようだとか、難しくしようだとか、そういった思惑が絡んだ物ではないのです。ですから、このルールにも当然根拠と呼べるものがある筈です。殆どの文法が作られた根拠は外から見ても分かるものではありませんが、疑問詞による疑問文は非常に簡潔ですので、見て理解する事が十分に出来るようになっています。折角なのですから、その根本的な部分から理解してしまいましょう。
まずは、何故疑問詞が必要なのか。
疑問詞が無くても疑問文を作る事が出来るのは先述の通りです。(出来るだけ簡単でありたいはずの「言語」ですから、)当然存在するに値する理由があります。
生徒達に、自分の生活を想像してもらいましょう。日常会話の中で、ちょっとした質問とそれへの回答というのはありふれているでしょう。その中で、「はい」「いいえ」で答えていない場面に思考が行き着くはずです。
生徒が日常会話を思い出すのに悩んでいる場合は、何か適当に先生から話を振りましょう。
「今日は良い天気ですね」「はい」
「今朝はちゃんと朝ご飯食べましたか?」「はい」
「宿題は忘れてませんか?」「はい」
「宿題、いつやりましたか?」「一昨日の……」
実際の会話に照らし合わせれば分かりやすいでしょう。生徒がこのように二択以外の回答をした瞬間を逃がさずに使いましょう。
「これが! 疑問詞の疑問文の特徴です!」
「今のように、YesやNoでは答えられない質問を作るのが、疑問詞の役割です。」
といった感じで言うのが良いでしょうか。
疑問詞の使い方
疑問詞が果たす役割が分かったなら、次は使い方です。ここにも、英語が言語であるが故の「分かりやすさ」があります。先程の例文を参照しながら見てみましょう。
When do you study English?
これは「あなたはいつ英語を勉強しますか?」という疑問文でした。もしも疑問詞を使う疑問文が、全く新しい分野であったなら、一からルールを理解しなくてはいけないところです。しかし、そうではありません。
Do you study English?
こちらは、YesNoで回答する事の出来るそれまでに学習した疑問文です。上の疑問詞による疑問文と見比べてみましょう。文頭にWhen、つまり文頭に疑問詞が付いているだけであることが分かると思います。
つまり、疑問詞が付くことによって回答の仕方は変わっても、「疑問文である事」は同じであるという事が分かります。疑問詞はあくまで「付加」しているだけのもので、疑問文自体を大きく変化させるものではないという事ですね。この事さえしっかりと分かってしまえば、疑問詞全てが一気に簡単になります。
「疑問詞を使う疑問文は、疑問詞を無くすと、元々のYesNoで回答する疑問文に戻る」
という事なんです。
更に深く見ていくと:応用
注意点1
しかし、全てが全てそのように成立する、と簡単に断じてしまう事は出来ません。先程の例文をWhenからWhatに変えてみましょう。
What do you study English?
これを訳してみると、非常に困ったことになります。「あなたは何を英語を勉強しますか?」という様な感じでしょうか。意味不明ですね。「何?」と聞きたいのに自分で英語と言ってしまっていることで、文章がおかしくなってしまっています。ですから、こういう場合はその邪魔な「英語」を除きましょう。
What do you study?
これで、「あなたは何を勉強しますか?」という意味の疑問文になります。
ここで、疑問詞の文章の注意点1
「文章の中で質問内容に答えてしまっている場合は、その部分を取り除く必要がある」
という事が挙げられます。
注意点2
そして注意点はもう一つ。「何を勉強していますか?」と聞かれた時に「英語」「数学」の様に『教科』の事を聞いているのかどうかは、分かり辛いと思いませんか?
中学生同士であればそのように考えるのも自然かと思いますが、大人と子供、或いは大人同士ではどうなるでしょう。何かの資格についてかもしれませんし、仕事関係の技術についてかもしれません。ただの世間話かもしれませんしね。
今回は教科について聞きたかったので、できれば「何を勉強しますか?」ではなく、「何の教科を勉強しますか?」と聞きたいところです。ですから、その様な形に変えてしまいましょう。
What subject do you study?
と、このようになります。
いきなり「疑問詞の後は元の疑問文」というルールが破られた、と感じられてしまうのがここを教える時に最も大変な事だと思います。
「What」が「何」ですから、「What subject」は「何の教科」という『一つの疑問詞』として扱うように教えましょう。あくまで筆者の経験上ですが、「疑問詞の後に聞きたいものが何かを置いて疑問文を続けましょう」と教えるよりも、二単語をまとめて疑問詞として扱うように教えた方が理解しやすいと思います。
では最後に、疑問詞についてをまとめて終わりましょう。
- 通常、疑問詞は疑問文の先頭に付ける事で具体的な内容を聞く疑問文を作る
- 質問内容によっては文章内で重複してしまう場合があるので、その場合はその部分を取り除く
- 聞く内容を具体的にする場合、疑問詞と他の単語を合わせて一つの疑問詞として扱う使い方をする。組み合わせる単語は疑問詞によって様々。
以上です。
疑問詞は一つ理解できれば他にも応用していく事が出来ます。上手に教えて生徒たちが覚える事を減らしていけるようにしましょう。