天体運動の授業:実況中継第4回!
年周運動の第2回に入ります。「夏の真夜中に南の方向に見えるのはどの星座か」というような問題です。私は中学生の頃は当然、塾の講師になって中3理科の授業担当が決まった時点でも実はわかっていませんでした。必死になって勉強して感じました。「テキストはなんてわかりにくいんだ!」スペースの関係でしょうか、必要な説明がありません。
そんなテキストでもできる生徒は分かるのでしょうが、多くの生徒にはハードルが高い気がします。だからこそ、ここの分野をきっちり説明すれば、生徒の満足度は上がりますし、信頼を獲得することができます。
日周運動の授業についての確認はこちらです。
→【天体編・日周運動その1】:http://www.juku.st/info/entry/828
→【天体編・日周運動その2】:http://www.juku.st/info/entry/935
年周運動の授業についての確認はこちらです。
→【天体編・年周運動その1】:http://www.juku.st/info/entry/1139
では、何を補えば生徒に「わかった!」と言わせることができるのか、ノウハウを披露します。
地球の公転
まず確認だ。地球が1日に1回転することを何という?
→生徒「日周運動!」
ちょっと待て!今聞いたのは、「地球が1日1回転すること」だぞ!
この質問は極めて重要です!僕がよくやる定番のひっかけです。生徒は、だいたいひっかかりますね。「日周運動」と「自転」を混同する生徒は毎年必ずいます。「年周運動」と「公転」も混同します。なので、何度も繰り返します。
この手の「ひっかけ」をやるときには、途中から(「ちょっと待て!)のあたりから)とにかくニヤニヤしながら、話すようにしています。中3にもなると相当に「理科アレルギー」のある生徒がいます。「理科はわからない」「理科はできなくて当たり前」というあきらめ感が漂うこともあります。それを克服させるのも(克服しようとすることも)大事な仕事だと考えています。 そこで、「間違えたことで委縮させないこと」を自分は心がけています。「今回は間違えたけど、次は大丈夫かも」と希望を持ってもらうことも大事なのではないかと考えています。
日周運動は、例えば何が1日1周して「見える」んだっけ?
生徒→「太陽!」
そのとおり!じゃあ聞くけど、地球が1日1周している様子なんて地球上から見えるのかい?
生徒→「見えません!」
宇宙船にでも乗って地球の外から見ないとわからないよね。日周運動と言われたら太陽の動きを思い出して。で、日周運動の原因になっているのは、地球の…?
生徒→「自転!」
そういうこと。では、星が1年間で1周して見えるのは?
生徒→「年周運動!」
では、年周運動の原因になるのは地球の…?
前の回で説明していなければ、ここで簡単に説明します。
生徒「公転!」
季節による星座の見え方
前提事項の確認
さて、ちょっと難しい問題をやる。でも心配しなくて大丈夫。この後の説明をきちんと理解すれば必ずできるようになるから。
まず、覚えておかないといけないことを3つ説明するよ。
このように、目標を明確にすることも重要です。どこで話が終わるのか、どれだけやらないといけないか、ということは生徒の最大の関心事ですから! もちろん、ぼおっとしている生徒がいないように目配りする必要があります。
まず1つ目は、地球の自転の向きだ。
これは、地球を北極の上から見た図だ。
地球は、北極の上から見ると、反時計回りに自転している。
これは、文句を言わず、覚えてしまうこと。で、天体の問題で時計回りか反時計回りかって聞かれたら、北半球は、まあ、反時計回りだからね。
で、この向きを東西南北で言うとどうなるか。日本で言えば、九州から北海道に向かう方向、大阪から東京に向かう方向だから?
適宜、図に日本列島を(いびつな形でもいいので)書き加えます。図4参照。
生徒「西から東!」
そういうこと。
2つ目は、朝なのか夕方なのか、正午なのか真夜中なのかだ。
ここで、テキスト等で図6を確認しても良いかもしれません。
この図は、地球を北極から見た図だ。この図では太陽は地球の右側にあることにする。
で、北極を通る線をこのように引いた。このAとB、昼はどっち?
生徒→「B!」
そうだよね、太陽が当たってる方が昼で、当たってないほうが夜だよね。Bが昼で、Aが夜だ。
では、自転の方向はどっち回りだっけ?
生徒→「反時計回り!」
そのとおり!
では、昼と夜の話と、地球の自転の話を組み合わせる。
最初はアとイだけ書きます。
アとイで、朝はどっち?
少し時間がかかるかもしれません。「?」となっている生徒が多いようであれば、図にウとエを書き加えます。
はい、注目。ウは昼なの夜なの?
生徒→「夜!」
エは?
生徒「昼!」
そうすると、イというのは夜と昼の間、夜から昼に変わるところだよね?すると、朝なの夜なの?
生徒→「朝!」
そういうこと
オとカがそれぞれ真夜中と正午だということも確認します。
3つ目は方角の問題だ。
下手な図で申し訳ない。これ、日本列島ね
生徒→「えー」
はい、で、このXが九州の福岡あたり。(生徒失笑)。みんがが日本列島だと認識してくれたところで、では質問。
福岡から見て北の方向は、この図で言うと、上下右左のどれだ?
この質問に「上」と答える生徒が少なからずいます。地図上では北が上、と刷り込まれているからです。これは仕方のないことです。
はい、よく見てね。九州から見て北海道はどっちの方向にあるかというと?
生徒「北!」
だから、九州から見て北海道のある方向が北なの。更に言うと、北極の方向が北になる。普通の地図とは違うので要注意ね。とにかく、北極のある方向が北。これが重要。
このことを説明していないテキストも多いです。そんなに簡単なこと、当たり前のことなんでしょうか?
PQRSについて北の方向は上下右左のどれか、それぞれ朝・夕方・真夜中・正午のどれかを確認します。Pは下、夕方、Qは右、真夜中、Rは上、朝、Sは左、正午です。
ここまで一気にやります。ここまで理解できれば、この後の話は簡単なはずです。
はい、3つ説明したよ。何と何と何だっけ?
ここで一旦、3つの事項を確認です。
季節による星座の見え方~本論
テキストにこの図が載ってるね。太陽の周りを地球が回っている。この運動のことをなんていうんだっけ?
生徒→「年周運動!」
やはり、ここでも多くの生徒が間違えます。日周運動と年周運動は、見かけの動きであること。自転と公転は地球が動くこと。もう一度確認します。
で、太陽との距離によって春夏秋冬が決まる。これは後で詳しくやるから。
で、夏の部分を拡大したのが図7だ。
では質問だ。「夏の季節に、真夜中に、南の空に見える星座は何だ?」
いやーな感じの空気が漂うこともあります。
まず、夏の季節、って言ってるんだから、図7を見る。図6だったら夏のところを見るんだね。
さて、真夜中は、ABCDのどれだったっけ?
「Aが真夜中」と答えられるはずです。答えられない生徒がいたら再確認です。
では、南の方向は、Aから見て、上下右左どっち?
答えられない生徒には、「Aから見て北はどっちだ?」と聞きます。東西南北の関係さえ分かっていれば答えられます。
だから、夏の季節に、真夜中に、南の空に見える星座は何だ?
生徒→「いて座!」
ここらへんで、「なーんだ、簡単じゃん」という声が聞こえることも多いです。
じゃ、夏の季節に、真夜中に、西の空に見える星座は何だ?
ちょっと戸惑うかもしれません。
この図では、小さくまとめて書いてあるけど、実際にはどの星座もすごい遠くにあるわけ。
(図6のずっと上の方を指して)おとめ座だと、例えばここら辺か、もっと遠くにある。だから、この場合、おとめ座は西の空、と言ってしまって大丈夫。
だから、夏の季節に、真夜中に、西の空にはおとめ座、東の空はうお座、で大丈夫。
注意しないといけないのが北の空で、太陽と同じ方向にある星座は見えない。太陽の光で消されちゃうからね。
で、「夏の空」で「朝」「正午」「夕方」「真夜中」に、「東」「西」「南」「北」に見える星座を次々と確認します。
更に、「春の空」「秋の空」「冬の空」でも確認します。適宜、図7のような、拡大した図を書いても良いと思います。
春の季節、朝に、西の空に見えるのは? せーの、でみんなで答えるよ。いいかな?せーの!
生徒一同→「おとめ座!」
と、一致したら大成功ですね。
まとめ
日周運動は、地球以外の星が1日に1周して見える運動のこと。
自転とは、地球が1日に1周すること
年周運動とは、地球以外の星が1年に1周して見える運動のこと。
公転とは、地球が太陽の周りを1年に1周すること。
地球の自転の向きは、西から東。北極の上から見ると反時計回り。
北の方向は、北極がある方向。
地球を北極の上から見た図(円)で、太陽の光の当たっている側と当たっていない側を、北極(中心)を通る直径で二分し、朝はどこか、夕方はどこか、正午はどこか、真夜中はどこか、確認すること。
太陽と同じ方向にある星座は、太陽の光で消されるので見えない。
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