今回の記事では多くの生徒さんが苦手とする「整数問題」について紹介します。問題を何問か紹介しますので、ぜひ整数問題を解くコツを思い出すと同時に生徒さんにも同じ問題を指導で紹介してあげてください。
早速問題の紹介からです。
問題:4,5,6のどれで割っても1余る数の中で、7で割り切れる最小の数はいくつか
まずはじっくり考えてみましょう。
これは筑波大付属で出題されたことのある問題です。7の倍数を小さい順に一つ一つ4,5,6で調べていくと時間がかかりすぎてしまいます。どうしたらいいのでしょうか?
ここで条件の付いた数を文字で表して特徴づけるという方法が有効に働きます。
条件の付いた数を文字で表して特徴づける
例題で慣れる
「2ケタの自然数Mに対し、Mの1の位の数と10の位の数の和が9であり、MからMの10の位の数と1の位の数を入れ替えた数を引くと27になる自然数Mを求めよ」
という問題の時、自然数Mについての方程式を立てようとしてもうまくいきません。せっかく、’2ケタの自然数’という条件が付いているのですから、10の位の数をxと置いてみましょう。そうすると、1の位の数は9-x と表せて、
M = 10x +(9-x) と表せます。さらに、Mの10の位の数と1の位の数を入れ替えた数は
10(9-x) + x と表せるので、
M – 10(9-x)+x = 27 というxについての一次方程式が出てくるので、これを解いて
x=6 となります、あとは9-x = 3 なので、自然数Mは63と求められます。
このように、
別の表し方をすることで問題文の条件をうまく式で表わせる
ことがあります。
さて最初に紹介した問題を考えてみましょう。今回の場合、問題文の前半部分:「4,5,6のどれで割っても1余る数」というのを文字を使って表せます。小さい数でまずは見てみます。
4で割ると1余る数というのは1,5,9,14,….となっていき、4ずつ増えていくことが分かるので4m+1(m:0以上の整数)と表すことができます。では4,5のどちらで割っても1余る数というのはどうでしょう?これは1,21,41,…となり、20ずつ増えていくことが分かるので
20m+1と表せます。ここで気がついた人もいるかもしれません。実はmの係数は割る数の最小公倍数になっているのです。つまり、4,5,6のどれで割っても、というのは
60m+1 となるのです。補足ですが、-3 , -19 ,-59 といった数はmが0の時にちゃんと1を表すように帳尻合わせのために入っている項です。
以上をまとめると、60m+1 と表すことでこの数が7の倍数になるような最小のmを求めればよいことが分かります。あとはm=0,1,2,…と順番に調べていくことでm=5のとき、301は7で割り切れ、mが4以下の時は割り切れないので、求める答えは301 となることが分かりました。
実は上で紹介したポイントは図形問題にも応用できます。図形問題の場合、図の付いた問題は条件を図に書きこむ が鉄則です。なぜならば、目の前の図ばかりに集中してしまい、問題文中に書かれている条件を見落とすからです。このように分野の垣根を越えて数学には関連性があるので自分で探してみましょう。
続いては別の問題に進みたいと思います。
問題:2つの数 75/14 と45/8 のどちらにかけても、その積がともに自然数になる数の中で、最も小さい数を求めなさい
これは桐朋高校で出題されたことのある問題です。積が自然数になるためには分母を約分できるような数、つまり、分母の倍数であればいいのですから・・・
解答
2つの数のどちらにかけてもその積がともに自然数になる数は、8の倍数かつ14の倍数である。つまり、求める答えは8と14の最小公倍数であるから56。
間違えやすいポイントとしては 14×8=112 であるから答えは112とする可能性が考えられます。この問題は、8と14の最小公倍数は何か、という問題の類題ともいえます。このように、同じことを形を変えて問われることがあるので、見たことのない問題でも恐れずに解いていきましょう。
今度は最小公倍数に加え、約数の考えも取り入れた入試問題を解いてみましょう。
問題:2つの自然数a,b において、aとbの最小公倍数は315であり、b/aを約分すると3/7とになる。このとき、aとbの値を求めなさい。
これは愛光高校で出題されたことのある問題です。
前半で紹介した「条件の付いた数を文字で表して特徴づける」がポイントです。
解答
b/aを約分するとになるので、 b=3k と表されるとき、aは7kになる。
このとき、aとbの最小公倍数は21k となるので、21k = 315 すなわち、k =15 であればaとbの最小公倍数は315を満たす。以上より、a=105 , b = 45 となる。
解答の1行目の部分が 条件→文字 に変換した部分です。文字で表わすことで、約分すると~の部分の条件は考える必要がなくなります。間違いやすい箇所はb=3k , a = 7k と表した時、最小公倍数は 2数の積 と表されると思いこんでしまうかもしれません。しかしこれは間違いです。これはaとbが互いに素、すなわち、1以外の公約数を持たないときに成り立ちます。
実際、k=3のとき、b=9,a=21 で、最小公倍数は63ですが、このとき、2数の積は189 となり、最小公倍数の値と一致しません。
今回紹介した3問はいずれも解答は3行程度の問題でしたが、実際に解いてみるとなんとなくわからない部分があったかと思います。
とにかく忘れてはいけないポイントは
別の表し方をすることで問題文の条件をうまく式で表わせる
でした。この点を生徒さんに印象付けてあげてください!
運営部おすすめ記事
理系のあなたに!国語ってどうして勉強するか知ってますか?
【塾講師必見】国語の教え方はこれだ!そもそも国語って何を教えるの?