中学数学でも頻出のテーマの一つが、立体図形における最短距離問題です。例えば「AからBを結ぶ紐の長さを最も短くするには...」などの問題が定番かと思います。
紐の長さの最小問題
問題:円柱の上端Aから下端Bまで円柱を1周させて紐を通すとき、紐の長さが最小となるときの紐の長さを求めよ
右図のような円柱を考えてみます。
今回は円柱の高さを10、底面の半径を5としておきます。
紐の長さの大鉄則はこれです!
展開図を書く!
見取り図に紐を書いてみてもどこが短くなりそうかなど全然分かりません。実際通る軌跡を平面で見るためにも展開図を活用するように強調しましょう!
展開図は右図のようになります。
ここで展開図を書くときにも注意することがあります。それは底面の2つの円を端に書くことです。展開図としては2つの円を上下にさえ書いておけばどこにでも書いてよいのですが、一つの直角三角形ではっきりと説明するには右図のように書くようにしましょう。
さて、展開図にすでに赤線を引きましたが、この赤線の時が紐の長さが最小の時です。
この赤線を含む直角三角形はすぐに見つけることができますね。
AB以外の2辺は、円柱の高さと底面の円周なので、それぞれ 10 , 10π となるので、
AB =
となります。ルートの中にπが入っているので汚いように感じるかもしれないので、これが正解の形であることを強調しておきましょう。
では円柱を2周させるときは?
この問題の解説を終えてからこのように2周させたときはどうなる?と問いかけてみるのもいいかもしれません。本質が分かっているかどうかを確かめることができます。
このときの紐の様子は右図の赤線になります。
高さの半分のところで糸が2周目に入っているのが分かるでしょうか?
1周目の紐の長さと2周目の紐の長さは等しいので
計算すると
となります。
ここで一応強調しておくと、
右端に到着すること = 1周すること
です。まだよくわかっていない場合は同じように3周、4周の場合の紐の様子を書かせてみましょう。
余裕があるようであれば1周半の場合もやってみてもいいかもしれません。
問題:底面の半径が2、母線の長さが12の円錐の1点Aを出発し、側面上を通って再びAに戻ってくる最短経路の長さを求めよ
今回は円錐の周りを1周させます。前にも述べましたが、最短経路の問題のポイントは
展開図を書く
です。見取り図に赤線で最短になりそうなところに線を引いてみましたが、やはり見取り図では最短がどこかよくわかりませんね。
展開図は右図のようになります。
ここでも底面の円を端に書いておくことがポイントです。前回の円柱の場合と同じです。こうすることで、右図の場合、右の端点もAとみなせ、左端から右端に線を引くことが円錐を1周させることに等しくなります。
つまり、最短経路のとき、下図の赤線になります。(図は拡大します)
さて、求める部分が分かりました。まずは側面の中心角を求めましょう。母線の長さが12,底面の半径の長さが2であることから、中心角は60度となります。ということで、扇形の中心角が60度と分かったので、赤線を含む三角形は正三角形であることが分かりました。以上より、紐の長さが最小となるときの長さは12です。
底面の半径の長さが4の時は?
実はさっきの問題の場合は三平方の定理は必要ありませんでした。しかし、底面の半径の長さが4の時は側面の中心角が120度となり、三平方の定理が必要です。このとき、下図のような二等辺三角形を考えます。
あとは、二等辺三角形の高さを求めるのと同じ要領で補助線を引くと、
30度、60度、90度の直角三角形ができるので、赤線の長さは
となります。
円錐の側面の中心角は60度、120度、180度などの場合でしか三平方の定理では計算することができないので、パターン問題として得点源にさせておきましょう。
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