はじめに 英語の過去問題の使い方【私立高校受験】
昨年度個別指導で教えていたA君の事例をもとに私立高校受験の英語の過去問題の使い方について書きたいと思います。
自分は勤めていた地域的にも私立単願で受験する高校生が少なかった、というかほぼ皆無だったのでしっかりと対策をするのは初めてだったのです。A君は公立高校の中学3年生で成績的には偏差値55くらいのごくごく平均的な生徒でした。私は彼に週1コマで英語を教えていました。私立単願に決めたのは冬期講習の前くらいであったので12月~1月の多くはその私立大学の過去問題を解く授業となりました。その私立高校は偏差値が60くらいなため彼にとっては少し背伸びをした受験だったのです。
志望校対策①文法編
初めて彼に問題を解いてもらった際は悲惨なものでした。100点満点中30点程度。とてもこれでは合格はできません。ありがたいことに長文の読解はそこまで悪くはありませんでした…。とはいえ全体がこれなので満足できるものではありませんでしたが…笑。ほとんどできていなかったのは文法問題の単元でした。彼は、偏差値は55程度あるので中学で習う基礎的な英文法は頭に入っていましたがこの出来だったので相当焦ったのは覚えています。
しかし、問題は間違えた文法問題にありました。彼が間違えていたのは公立の中学では授業で触れることのない文法事項が多かったのです。(彼は決定するまでは公立高校の受験を考えていたのでそれ専用のテキストを使っていました。)たとえば、使役動詞や知覚動詞の後ろはtoV原型にならずにV原型が来るなどです。これは、公立では一応高校の範囲となっているために対応できていませんでした。難関と言われる私立高校の入試ほど公立中学校が教える範囲外の問題を出すことはもはや普通となっているのです。
そのため、急きょ高校のテキストを使用して、間違えた範囲の復習を行いました。一応その単元を終わらせた後は、毎回の授業の宿題で一度解いた過去問題の文法の単元だけ解くように指導しました。そして、自分で○付けをしてきてもらいましたが、ことあるごとに間違えた文法問題の答えの根拠を問いただしました。それも、この高校では毎回必ず文法問題が多く出題され、高校の範囲の問題も隔年ごとに決まったパターンで出されていたからです。そのためここまでしつこく聞き返すようにしました。
そうすると生徒もそのパターンが頭に入ってきたためにすらすらと根拠を言えるようになりました。他の学校の過去問題を解答している際に、「あっ、これtoいらないやつじゃん!」と自信満々に言ってくれた時は本当にうれしかったです。過去5年分の文法問題を何度も解くうちにどの文法問題も完全に解説できるほどになったのです。
志望校対策②長文編
長文は正直対策のしようがないと思いました。同じ問題が出るわけがないし、正直難しい問題でした。そのため、過去問題は一回解いてもらい傾向を一緒に考えました。その後はその高校よりも簡単な私立高校の長文を解いたり、他のテキストを使用してなるべく簡単な長文問題を多く解いてもらい、とにかく長文の英語に触れさせるようにしました。また、今まで使用していた単語帳を使用して基礎的な単語の確認も行いました。空欄に単語を入れる問題の多くは簡単な単語を入れるものだったので難しい単語を新たに覚えるのではなくて、今まで覚えてきた単語を再度確認し完璧にするように心がけました。
終わりに
この対策の結果A君は無事に志望校へ受かることができました。もちろん英語だけで受かったわけではありません。しかし彼が「文法問題簡単だった。」と言ってくれたのは非常にうれしかったし、対策をしたかいがあったなと思いました。
この経験から学んだのは、
- 過去問題の傾向をいち早く分析し生徒と共有する。
- 傾向に沿ったより細かい授業を行う。
- 繰り返すことで生徒自身にしっかりとパターンを身に着けさせる。
ということです。皆さんもぜひ参考にしてみてください。