国語の論説文の基本作法
今回は国語の論説文読解の基本作法、というテーマで解説をしていきます。
「国語だけはなんとなくできる?」
私自身が中学生の指導をしていてよく耳にするのが、「国語だけはなんとなくできる」というものです。
特に模試の結果でありがちなのが、勉強が苦手な子でも国語だけは60点前後取れているケース。
もっと詳しく話を聞いてみたところ、「なんとなく本文に選択肢と同じことが書いてあった」と。
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そうなんです。
論説文の場合、問題の答えやヒントとなるものは必ず本文中に出てきます。
そこさえ拾えてしまえば必ず正解できるのが論説文のいいところです。
私の場合、小説の問題(登場人物の心情を読み取るなど)が得意ではなかったので、模試や入試では論説文問題でしっかり点を取るようにしていました。
「なんとなくできる」状態から、「確実にできる」状態へと持っていくために、是非作法を押さえて欲しいと思います。内容も複雑ではないため、講師の方は生徒に国語を教える時にお役立てください。では、参ります。
1.まずは問題に目を通せ!
国語の文章は長いため、試験開始とともに文章に取り掛かりたいところですが、その気持ちをグッとこらえてまずは問題を見ておきましょう。漢字の問題や簡単な文法問題など、本文とは無関係に解けてしまうラッキー問題があれば先に得点できます。
また、文章内容などについての選択肢問題や抜き出し問題などもおおざっぱでいいのでどんな話題についてなのか少し見ておきましょう。本文に入る前に内容を先取りできるのでスムーズに読み進めることが出来ます。
2.段落番号をふれ!
この作業も是非行ってください。文章の話題は段落ごとに切り替わることが多いので、その都度内容を整理しておくと問題を解く時に見直すべき場所が見つけやすくなります。普段入試過去問などを解く際には、段落ごとに内容を要約する練習をしておくと本番で焦らず解くことが出来ます。自分の行った要約が適切かどうか、先生に見てもらうのもよいでしょう。
3.本文中でチェックすべき言葉
いろいろな読解のコツはありますが、最低限押さえておいて欲しい言葉を書いておきます。
- 主語・述語のセット
- 「しかし」などの逆説の言葉
- 「たしかに」という譲歩の言葉
- 「つまり」「すなわち」など、内容をまとめようとする言葉
まず、主語述語です。
論説文の場合、主語が筆者なのか文中紹介される人なのかをしっかり判別しなければなりません。中で登場する主張・意見が引用された人のものなのか筆者自身のものなのかなどがこんがらがってしまうと内容一致問題などで引っかけをくらってしまう恐れがあるので注意です。「誰が」「どんな意見を言っているのか」はしっかり見極めましょう。
次に逆説の表現についてです。
文中に「しかし」「ところが」といった表現が出てきた場合、即印をつけてください。逆説表現の直後には筆者の言いたいことが続く場合が多く、そこをダイレクトに問題で問われることがあります。受験する高校の難易度などに関係なく当てはまる話なので、是非覚えておいてください。
そして「たしかに」という譲歩の表現。
ほぼ確実に、後方に逆接表現が続きます。「たしかに」という言葉で多くの人が認める共通認識や常識が語られますが、そこから「しかし」と筆者の主張が続くことがよくあります。
例) 確かに科学技術の発展は我々の生活に多大な恩恵をもたらした。しかし、必ずしも全ての人が幸せかといえば否、と言わざるを得ない。
そして最後のポイント。
「つまり」「すなわち」などのような表現があった場合、逆説表現と同じように即マーク。後ろは筆者の意見であったり、場合によっては文章全体の要約・まとめがくる場合もあるので、特に注目すべき点です。
以上4点は必ず守るようにしましょう。それだけでも大分出来が変わるはずです。
※「たとえば」という表現がある場合
文章の大体の意味が飲み込めているなら無視してかまいません。例を出す場合、そこには意見として言いたいことがわかりにくいのでより具体的に伝えようとする意図があります。その部分は読めばより筆者の言いたいことが分かりやすくなりますが、必要無さそうであれば飛ばして先を読み進めても問題ありません。
4.段落ごとに問題を見返せ!
段落を1つ読み終えるたびに、必ず問題に戻るようにしてください。その都度解ける問題があれば解いてから先を読むようにしましょう。これこそが基本作法の中でもっとも強力な部分で、
一周読み終わると同時に全問解答が終了する
ことが可能になります。文章が長くなるほど効果を発揮します。国語は文章を含め問題を読まなければならない時間が他の科目に比べ多いので、一周読み終わる時に問題をほぼ全て解答し、見直しや次の問題に取り組めるようにすることが時間内に解き終わるカギです。また、最近では上位私立に限らず公立高校の問題も難易度を上げようとする傾向があるので、自由記述の出題も考えられます。そのためそれ以外の問題を如何に早く終わらせ、記述に時間を割けるかも大事になってきます。
5.最後の見直し
国語の試験で見直しをやったことがない、または見直す時間がないという方は多いのではないでしょうか。
ここまでの基本作法がビシッと決まると、問題を見直す余裕も出てきます。段落ごとに話の要約もしっかりしてあるので、問題ごとに文章のどこを見直せばいいかもすぐ判断できます。
具体的な見直し方法ですが、以下の手順で行うとスムーズだと思います。
- 漢字・語句の問題
- 記号問題
- 記述問題(漢字ミス・文字数制限・解答末尾のチェック)
最後の記述問題です。漢字の間違い、文字数制限(制限次数に届いているかどうか)、あとは字のきれいさは注意です。よほどのことがない限り字が汚くて不正解となることはありませんが、焦って書いてしまった解答などは一度読み直し、できる限り丁寧な次に書き直すようにしましょう。
あと、解答末尾です。問題文の聞かれ方に対して、正しい文末で締めくくられているかどうか確認しましょう。「なぜ~なのか」「~とはどういうことか」などに合わせ、それぞれ「~から。(ため。)」や「~(という)こと。」のように形を揃えるようにしましょう。
国語の問題では、難易度にもよりますが見直しをする時間をたくさん確保することは難しいです。上に書いた内容を必ず全て実践するのではなく、残り時間に合わせて見直す問題を絞るなどの工夫が必要になります。
いかがでしたでしょうか。個人的な意見ですが、論説文は一部の小説問題などと違い、とても論理的に解答を導くことができるものだと考えています。また、英文読解についても同様の記事を書いておりますので、ご参照いただければと思います。
今回紹介した技法、是非試験や指導の中でお役立てください!それでは!
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