証明問題、(教えるの)得意ですか?
試験中に生徒から、理科の選択問題に関する質問で
「その固形物Bをすり潰す」
と
「その固形物Bを捨てる」
って同じ意味ですか?と聞かれて生徒の将来が不安になりました。
もちろん生徒には、「じゃ~君がお母さんにこのフルーツをすり潰してといわれたら、
そのフルーツはごみ箱にいくのかな?」と思わず言ってしまいました。
もちろんお母さんがせっかく買ってきたフルーツをごみ箱に捨ててしまったら、
お母さんの頭からは角が2本とは言わず何本も立ち、怒ることでしょう。
そんな生徒の話はさておき、みなさん
証明問題を教えるのは得意ですか?
「もちろん、大の得意!」
「日本語たくさん書くのが大変なので、うまく教えられないんですよね」
様々な感想があると思いますが、では、
証明問題を教えた生徒さんは、実際にできるようになっていますか?
基本的に証明の配点って模試などでは100点中8~12点くらいなのですが、
間をとって10点だとしたら全部は間違えないにしろ10点中6点くらいを、
いつも証明問題においてさまよっている生徒さんが多いのではないですかね?
多くの生徒さんもそれで満足してしまっているのが問題ではあるのですが..笑
御存じの方は多いと思いますが、
現在神奈川県の高校の共通入試試験の数学の証明問題は
穴埋め形式から完全証明に変わりました!
昔までは、穴埋めだからなんとかなると思っていたのに
付け焼刃で臨んでも、歯が立たなくなってきたことが現実問題としてあります。
そんな中でも、私の生徒はいつも模試でも証明問題は10点中8~10点をマークしてくれます!
また、照明は難しくないから絶対に毎回取りたいと良く生徒が、口をそろえて言っていました。
実は!おまけに、記述式の文章題も副次的な効果として彼らは得意になっていくこともあるのです。
では、実際にどのように指導することが良いのでしょうか
今回は私が大切にしていることのなかでいくつをここで共有したいと思います。
1 証明問題の採点は減点法
指導法を先に書きたいのですがその前に
証明問題を採点する際は基本的に減点法であることが多いです!
減点法とは、端的にいえば初めに持ち点が与えられていて解答すべき要素が欠けていれば
その項目に応じて点数が徐々に減らされていくという方式です。
例えば最後の合同条件がしっかりかけていなかったからマイナス3点といった形です。
つまり、いかにしてその減点される理由を減らすかということがポイントになってきます。
2 誰にでも伝わるような言葉で書くことの大切さを伝える
(テレビに映ろうと必死の長谷川君。テレビに出ることが彼の夢らしいです)
私たち日本人は会話をするとき、言わなくても伝わることは省くことを
無意識のうちにしてしまいます!!完全証明をする際はそうはいきません!
「~~~~より~~~は~~~である。」
いうように、必ず説明をしなければ、長谷川君は書いている本人だからわかっていても、
採点者に伝わらなければ意味がないことを必ず伝えてください。」
よく添削するときに「どうしてここは~~~なの?書いてないじゃん!」
といいうと
「だって、~~~~だから」と生徒は返してきます。
「わかっているじゃん!!それを数学的記号と日本語をまぜて書くんだよ!」
という会話を何度もしている気がします。
そう、生徒たちは実はわかっているけど言葉にできてないだけってことはよくあるんですね!
3 問題集の解答では全然足りていない?!
そもそも問題集の答えに書いてある、証明問題の答えは必ずしも正しいとは思いません。
ここでいう正しくないとは、“不足がある”ということです!
説明すべき理由がされていないことはよくあることです。
講師はその“不足”をも見抜いて、加えていかないといけません。
4 完全証明で徹底的に教え込む
「生徒には難しいからやっぱり穴埋め問題をたくさんやらせた後に、
最後にチャレンジとして完全証明をやらせる程度いいかな」
と思っている方もいらっしゃると思います、確かに言葉は悪いかもしれませんが
数学が非常に苦手な生徒さんに対しては、仕方がないことかもしれません
しかし、それではもったいないです!!!!穴うめ形式から完全証明にうつるより
完全証明から息抜きに穴埋め形式にうつしたほうができます!
(完全証明と穴埋めの同時進行でももちろん問題ないです)
生徒にはまず、板書で証明の書き方を徹底的にみせてあげ、
実際に完全証明で取り組ませることが大事です。
[証明]から[証明終]までの流れを全てです!
5 言い回しは覚えてもらってもいい!
証明問題、とりわけ図形の証明となると独特の言い回しが多く、
もちろんそれは初めての生徒さんにはなじみがないものだと言えます。
例えば、
△ABCと△DEFにおいて
平行線の錯角より
合同な三角形の対応する辺の長さは等しいので....
etc
これらの言い回しは覚えてもらったほうが早いです!
教える時には必ず、いちいち説明すると長くなるからこれをつかえば短くなって
楽なんだよということを言ってあげてください。生徒は楽をすることが大好きですから。
6 証明の添削は妥協してはいけない
私の証明の授業は、合同条件等の知識を入れて、その後実際にそれをどう使うかを
丁寧すぎるほどに実際の問題をつかって証明を通して説明した後、
残りの時間は全部生徒に解かせて、解けた人から1人ずつみて添削していく形をとっています。
[証明]という文字がなければ突き返しますし、点の対応関係が間違っていても
つまりどんな、細かいミスがあっても何度も何度もやり直しをさせます。
経験からここで妥協して、許してしまったらのちに受験で困るのは生徒さんです。
もちろん、ただ解答をあたえて突き返すだけではなく、何がいけないのかをいうことももちろん、
生徒自身はどうやって証明すればいいかの流れはなんとなくわかっているので、
言語化することを手伝ってあげる作業をしてあげるのです。
証明は絶対に生徒に丸付けさせてはいけないことが、これを読めばわかるでしょう。
前回私は、ほとんど家庭学習をみないと言いましたが、例外があるとも言いました。
この証明問題が例外なのです。どんなに忙しくても、家庭学習でだした証明問題は
先生の目を通して添削してあげてください。
正直なことを言えば、この時期は面倒ですよ笑 生徒のやってきた証明問題を、
心を鬼にしてみないといけないわけですから、授業中も必死です笑
生徒は一度、三角形の合同証明、直角三角形の合同証明…といくつか取組み、
証明を書くことに慣れてくれば、たとえ平行四辺形の証明になろうとも、
結局はつかう条件という“ツール”が変わるだけということをわかってくれます。
なので、そのツールだけ暗記して残りは自分で勝手に証明が綺麗にできるようになるのです。
ちょうど先月、90分の証明の授業を2回やったのですが、生徒の半分以上は最後には
私が書くレベルの証明を書いてきます。とても読みやすく、学校の先生が書いて配布
している解答なんかよりずっと正確であると言っても過言ではありませんでした。
「ここまで書いて学校で減点されたら、先生を疑いなさい(笑) そのくらい、
君らの証明は他の人がみてもわかりやすく、もっといえば学校の先生の証明よりわかりやすいから!」
そういうと、彼らは得意な顔をして私にもっと証明問題はないのかと訴えてきました。
最後に
証明問題は、自分が考えていることを数学的記号と日本語をつかって伝える特訓であり、
そのような能力は多くの生徒が身に着けていません。証明問題を教えるということは、
その力を養ってあげること。それは数学の文章題に対して記述するときも根底は一緒であり、
加えて高校数学になれば,なお必要な能力です。
配点としても確かに重要ですが、点数を取らせるということ以上に証明問題を本気で教える価値についてもう一度、講師として向き合って考えてみてはいかがでしょうか!
【あわせて読みたい記事】
運営部おすすめ記事
理系のあなたに!国語ってどうして勉強するか知ってますか?
【塾講師必見】国語の教え方はこれだ!そもそも国語って何を教えるの?