入試問題でよく狙われる!!
「大地の変化」についての出題は、どの都道府県の公立入試でもほとんど毎年といってもいいほどみられるきわめて出題率の高い分野です。実際、昨年は御嶽山の噴火が起こり、2014年の大きなニュースの一つとなっています。また、2012年6月には富士山が世界遺産に登録されました。今後、さらに出題される可能性が上がるといっても過言ではないでしょう。講師のみなさんはこのことを心に留めて気合をいれて授業していきましょう!
火山とマグマ
以下、語句の説明をしていきます。重要な語句ばかりですが、その中でも強調すべきポイント・教える必要のないポイントは太字にしているので、授業時には注意して生徒に教えていきましょう。
マグマ・・・地球内部にある、どろどろにとけた高温の物質。火山噴出物のもとになる。
噴火 ・・・地下深くにあるマグマが上昇し、マグマに含まれる高圧のガスが地表の岩石を吹き飛ばして、噴火が始まる。
活火山・・・現在、水蒸気や火山性ガスを噴き出していて活動がさかんな火山や、最近2000年間に噴火したと考えられる火山
ここで活火山に関して注意すべきことがあります。少し前までは活火山の他に休火山、死火山などと言った分類がなされていましたが、休火山、死火山という言葉は現在使われておりません。その理由は火山活動が長い年月をかけて行われるため、休火山や死火山の定義が曖昧になるからです。この「火山とマグマ」の単元には覚えることも多いですが、このように入試にまったくでない語句もあるので注意しましょう!!
マグマに関しては授業時にはこのくらいの説明で十分だと思いますが、講師参考として補足します。マグマの特徴は主に4点で、①非常に高温 ②液体状 ③大きい圧力をもつ ④揮発成分(ガス)をもつ があります。マグマが地表に出たばかりの溶岩の温度が900℃~1200℃であることから地下深いところのマグマはそれ以上の高温です。また、③の大きい圧力をマグマがもっているというのはとは、地上よりも大きい圧力を持っている結果、激しい爆発噴火を起こすと考えられるからです。④の揮発成分を含んでいるというのは噴出物の多くにガスが抜けた時にできた小さな穴がたくさんあいていることから分かります。
火山噴出物のいろいろ
①火山ガス・・・大部分は水で、二酸化炭素や二酸化硫黄なども含まれる。
②溶岩・・・マグマが地表に流れ出たばかりの液体状のものや、それが冷えて固まったもの。
③火山弾・・・直径64mm以上。マグマが空中を飛ぶ間に冷却して固まる。
④火山れき・・・直径2mm~64mm。
⑤火山灰・・・直径2mm以下。
強調して教えるべきポイントは①と②です。火山ガス、というと生徒は有毒なガスというイメージを持っています。火山ガスの主成分は?と聞かれると硫化水素、二酸化炭素などと間違えやすいので、「地中に含まれる水分が熱で蒸発して水が出てくる」と強調して教えましょう。溶岩に関してはマグマと間違えやすく、マグマは地中にあるときの呼び名、噴火で出てくると溶岩という呼び名になるということを強調して教えましょう。火山弾、火山れき、火山灰に関しては大きさによって区別されている他、火山弾の形は紡錘形や球形など様々である、火山れきは表面にガスが抜けた時の穴が無数にある、火山灰は火口の壁や底を作っていた岩石が噴火の勢いで細かく砕かれてできた、等の特徴がありますが、細かく授業で取り上げる必要はないと思います。ちなみに、軽石というのは④の火山れきのなかで色が白っぽいものを指します。
これらの火山噴出物にガスが混じり、一気に山腹を流れ下るのを火砕流と呼びます。その速さは時速100km以上にもなり、非常に高温で逃げることさえ難しく、大変恐ろしいものです。1991年の普賢岳では大火砕流が発生し、多くの人がなくなりました。この火砕流は粘り気が強いマグマのときに発生するものです。似た語句に土石流というのがありますが、これは大量の土砂が水と共に一気に流れ下るもので溶岩を含んでいません。取り扱う際には間違えないように注意して教えましょう。
マグマ・・・地中 溶岩・・・地上に出てきたもの
火砕流・・・火山弾や火山灰が溶岩を含んで流れるもの 土石流・・・土砂が水を含んで流れるもの
マグマの性質と火山の形
マグマには粘り気の強いものと弱いものがあり、これはマグマ中に含まれる二酸化ケイ素の量によって決まります。高校の化学ではSiO2と表記され、見かけることが多いのですが中学理科では出題されることは少ないので必要に応じて授業で扱いましょう。大事なのはマグマの性質です。
[マグマの性質] | ||
粘り気 | 強い | 弱い |
二酸化ケイ素 | 多い | 少ない |
温度 | 低い | 高い |
岩石の色 | 白い | 黒い |
マグマの性質として粘り気、二酸化ケイ素、温度、岩石の色がありますが、右の表のような関係になっています。ちなみに、温度が低いというのは約700~1000℃を指し、温度が高いというのは約1200℃を表します。温度が低いから手で触ることができるなど誤解を生じさせないようにしておきましょう。
また、粘り気の強さによって火山の形も変わってきます。
粘り気が強い場合
地表に出てきても溶岩が盛り上がるだけでなかなか流れず、そのまま固まりちょうど釣鐘をふせたような形になります。さらに、流れにくいことから溶岩が火口をふさぎやすいため圧力が大きくなり爆発的な噴火になりやすいです。主な火山例:昭和新山(北海道)・有珠山(北海道)・普賢岳(長崎)
火山例と日本地図でどこに火山があるかなどの問題が出題されているので日本地図で確認して授業で教えましょう。この火山の形を溶岩ドームという呼び方がありますが、実はこれは教科書には記載されていません!例えば東京書籍の教科書には「おわんを伏せたような形」と表記されています。したがって、呼び方ではなく、特徴を重点的に教えるようにしましょう!!
粘り気が弱い場合
地表に出てくるとすぐに横にひろがって固まります。その結果、ちょうど楯を伏せたような形になります。粘り気が強い場合と異なり、火口をふさぐこともないので噴火の時も火口から静かに流れ出すだけで爆発的な噴火はしません。また、火山弾や火山灰などの吹き上げも少ない噴火です。形から楯状火山と呼ばれます。主な火山例:三宅島(東京、伊豆諸島)・マウナロア(ハワイ)・キラウエア(ハワイ)
粘り気が中程度の場合
火山灰や火山歴が積もった層と溶岩の層とが交互に重なり、全体としてきれいな円錐形となります。噴火のしかたは激しく爆発するとき、静かに溶岩が流れ出るだけのときなど様々であり、決まっていません。形から成層火山と呼ばれます。主な火山例:桜島(鹿児島)・浅間山(長野・群馬)・富士山・御嶽山・阿蘇山(熊本)
最近のニュースで取り上げられている御嶽山・富士山ですので、講師のみなさんはチェックを入れておくべきでしょう。桜島、阿蘇山についても現在も噴火している火山としてニュースで取り上げられるので注意が必要です。特に阿蘇山はカルデラで有名です。カルデラとは大規模な噴火によって火山灰、火砕流、軽石、溶岩などの火山噴出物が大量に噴出したり、マグマが地下を移動することによって空洞化した地下のマグマだまりに落ちこむ形で地表が陥没したものです。阿蘇山のカルデラは南北東西に約20kmほど広がっており、代表例の一つとして挙げられます。また、粘り気が非常に弱い場合、山を形成せず、台地を作ることがあり、これを溶岩台地と呼びます。一部の難関校で狙われる可能性があります。主な例はインドのデカン高原です。
おわりに
理科の授業というのは極端に言えば生徒に語句を覚えさせることが目的です。かといって、大事な所だけをたくさん話しても生徒の頭には入りません。塾講師として生徒に授業するときには「いかに生徒に興味をもたせるか」ということが大きなポイントです。どのようにしたら生徒が興味をもって頭に残りやすいかを考えて授業していきましょう。例えば噴火の様子を家でyoutubeで見てくる、という宿題を出したら生徒は面白がって帰ってすぐに見てくるはずです。講師のみなさんは大事な所と大事でないところを見極めて授業を進めていきましょう。
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