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【中学理科授業の実況中継でわかりやすく解説】天体編・日周運動の教え方!①

中学生

2021/12/17

実況中継その1 日周運動って何?

(以下、特に断りのない限りは北半球での話ということにさせていただきます。)

 

 

今日勉強することは、まず「日周運動」なんだね。

(板書)日周運動

では、日周運動とは何か?

(板書)1日1周運動


(「日」の前、「周」の前にそれぞれ「1」を書き加えます。)  
1日に1周する運動のことなんだね。

 

何が1日1周するのか?
地球以外の星が1周するんだね。天体は星のことだ。


(…正確な定義ではありません。でも、とりあえずはこれで十分だと自分は考えています。テキストの中には何の説明もなくいきなり「天体」という言葉が出てくるものもありますから!)

 

では、地球以外の星でみんなが一番よく知っているのは?   →(生徒)「太陽!」

 

そう!

 

日周運動は太陽を含めたすべての星(天体)が1日に1周して見えることをいう。


(テキストにマークさせる)

 

実はみんな知ってるよね?本当は、地球が動いているの。太陽は本当は動いてない。


地球が、一日に一回動くのをなんて言うか?   →(生徒)「自転!」


そう!本当は地球が自転しているんだね。


自転というのは、地球が地軸を中心に一日に一回転する運動のこと(テキストにマークさせる)。


地軸というのは、北極と南極を結んだ線のことだ。


(…地軸の傾きのことはここではまだ触れません。)
で、地球が一日に一回自転しているせいで、太陽をはじめとする天体が一日に一回、1周して見える運動のことを日周運動というんだね。

 

 

注意するのは1日に1周して「見える」ってことなんだな。
地球から見ると、そう見える、っていうことで、実際には、みんなが知ってるように、動いてるのは地球なんだね。
ま、昔の人に戻った気持ちで考えるってことかな。

 

実況中継その2 天球

自転のことを考えるときに「天球」というものを考える。


天球ってのは、地球の上にいる人(観測者)を中心にした、大きな半球、球の半分を考えるんだね。

 


例えば、北極にいる人を中心に大きい半球があると考える。これが北極を中心とした天球だ。

 


赤道だとこんな感じ。

 


で、テキストにあるようにふつうはこのような天球を考えるわけ。

 天球については「だいたいこんなもんだよ」という説明をしたら、あっさり先に進むほうがいいと思います。実際の地球と天球の関係や、観測者の場所ごとの天球についての位置関係など、説明すればするほどどつぼにはまります。

自分は、初めて中3理科を担当した年に、一番できるクラスで天球を説明したときに、あれこれと説明しすぎてしまい「先生、わかんない!」とブーイングを浴びた苦い経験があります。


その反省から、翌年以降は、天球についてはこのくらいのあっさりした説明にとどめることにしました。すると、生徒の方も「そんなもんか」とあっさり理解して(理解した気になって?)くれました。
大事なのは、天球を使って説明する、太陽の動きです。入口でつまずかないようにしないといけませんね。

 

 

実況中継その3 天球上の太陽の動き

 


さて、Aが北だったら、Bは?   →(生徒)「南!」
そうだね。じゃあ、Cは?   →(生徒)「東!」

 

コメント:この質問が案外大事です。この質問に対するリアクションを見て、方角をきちんと把握できていない生徒は誰なのか、一応気にしておくとよいと思います。東と西がどちらなのか、それを把握できないと、これから先の話はわかりにくいものとなり、生徒にとってストレスとなるからです。

 

さて、この天球の上を太陽が動いて行く。観測者は天球の中心にいると考える。
太陽はどの方角から昇って、どの方角を通って、どの方角に沈むのかな。

 

(わかる生徒にこたえさせた後で、板書またはテキストマーキング)

太陽は東→南→西

コメント:何人かの生徒は答えられるはずですが(レベルにもよりますが)わからない生徒も一定数います。自分は「太陽の動く方向は、まずは、わからなくてもそんなに気にしなくていい」ということを話します。時間の余裕があるか、生徒が飽きているか、といった要因を考慮して、ここらで雑談を入れることもありますね。


「昔の人には、スマホも携帯もなかった。iPodもなかったし、ラジオもなければ時計もなかった。

 

たとえば田畑で農作業をやっている人にとっては、自分たち以外で動いている物っていったら太陽しかなかった。

 

だから、太陽の動きしか見るものがなかったわけで、太陽の動きはとても大きな関心事だったわけだ。太陽が東の空に上がってきたからそろそろ農作業開始、太陽が高く上がったからそろそろお昼ごはん、西の山の方に沈んでいったらうちに帰る…、といった感じだ。

 

 

これに対して、現代の僕らは、太陽の位置なんてあまり考えないで生きているよね。今、この教室で、北ってどっち?(「えーわからない」などと多少の騒ぎになります)」

 

他に雑談ネタとしてはテレビアニメ「天才バカボン」のオープニングの歌ですね。

 

著作権の関係で歌詞を掲載することはできませんが、「太陽は西から昇って東に沈む?え、ほんと?!」というような内容です。

 

自分は子どもの頃、この歌詞の反対が正しいのだ、と覚えていました。同世代の人たちの中にもそのように覚えていた人は案外いるようです。

 

中学生の中にも、CSの再放送で「天才バカボン」を観たことがある生徒もいるようで、話が通じることがあります。

 

自分は、この回以降の回で、太陽の昇り沈みがわからない生徒が出てきたときにはこのバカボンの歌を歌ってやることにしています。

 

間違える生徒が出るたびに歌います(笑)。すると、しまいには、「あー、もうやめて」という感じで覚えてくれます。

 

 

(以下は、実況中継ではなく、通常のスタイルで)

さて、太陽の通り道を天球上に書きます。


ポイントは「南中」と「南中高度」です。
太陽が一番南に来た時のことを「南中」ということ。「南中高度」は、どの角度なのか、を把握させます。

 

 


「南中高度」は言葉で説明するのが難しいので、図を示して「ここ」と言うしかないかな、ということで毎回やっています。

 


ついでにここの所で、太陽が真東から出て真西に沈むのが春分の日と秋分の日であることを説明してしまいます(①)。真東から真西、という動きだと、ちょうど球を半分に輪切りにしたようになるということを理解してもらいます。

 


その流れからすると、昼が長くなるのが夏、ということで、夏至の日の太陽の動きが②であること、昼が短くなるのが冬、ということで、冬至の日の太陽の動きが③であることはすんなりと頭に入ります。

 

できるクラスでは、こんなことも聞いてみます。

 


「冬至の日は秋分の日よりも、日の出の位置が南になる。」

 

この文だけを読むと、冬に南になるなんてなんか変じゃね?ということで×と答える生徒が多いです。


が、冷静に図を見てみると、日の出の位置については冬至の日の方が秋分の日よりも南に寄っていることがわかります。


冬なのに南?という感覚のみで答えると間違えてしまう例です。


もちろん「夏至の日は春分の日よりも、日の出の位置が北になる。」というのも同様の理由によって○ということになります。

 

ここら辺の話をしているうちに、生徒たちもだんだん天球についてなんとなくなじんできますので、そうなればしめたものです。


なお、天球のような立体図を書くのが苦手、という先生もいらっしゃるかもしれませんが(私などはその一人です)、臆せずに書いていいと思います。多少線が曲がっていたり、形が歪んでいたりしても、熱く説明すれば、生徒は納得してくれます(と信じています!)

 

まとめ


1 日周運動とは何か? →太陽や星などの天体が、一日に一周するように見える動きのこと
2 日周運動はなぜ起こるか? →地球が自転しているから
3 地球の自転の軸になっているのは? →地軸
4 天球上での太陽の一日の動きは? → 東・南・西
5 一日のうちで天球上で太陽が一番高い位置にくるのは? →南中のとき

 

こんなことをざっとおさらいします。

 

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