教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】によると、教員の約85%は転職の経験がないということがわかっています。そのため「転職を考えているが経験がないので、わからないことが多い」と転職活動に不安に感じている教員は多いでしょう。
本記事ではこのような悩みを持つ教員の方で、「教員から他の職業に転職をしたい」人におすすめの転職先や体験談、選考までに準備するべきことについて紹介します。
※文中において注1として言及しているアンケートは、塾講師ステーションキャリアが2022年に20~30代で塾へ転職経験がある及び転職を検討している方を対象に行ったものです。
目次
●教員が転職する代表的な3つの理由
・プライベートの時間がない
・年収に不満を感じている
・仕事のストレス
●教員からの転職は厳しい3つの理由
・転職活動の計画が立てづらい
・ビジネス経験が不足している
・今の年収を維持できる選択肢が少ない
●教員からのおすすめ転職先
●教員から塾講師へ転職した体験談
●選考までに必要な準備について
●まとめ
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教員が転職をする代表的な3つの理由
教員から転職したいよくある理由は3点あります。それぞれの理由について、政府が発表しているデータを用いながら紹介いたします。
理由① プライベートの時間がない
プライベートの時間がないと感じる主な原因は、仕事の拘束時間が長くて自由な時間が少ないからです。平日は朝から夜遅くまで仕事をしているのに加えて、部活動の顧問を担当している場合は、土日も拘束されています。このような背景から自由な時間の確保が難しいです。
文部科学省の教員勤務実態調査より、「空いた時間をどのように使いたいですか?」という問いに約半数以上の教員が「業務時間外のプライベート時間を充実させたい」と回答していることからも、自由な時間が少ないことを物語っています。
理由②年収に不満を感じている
年収に不満を感じている要因の一つ目は、仕事量が給与に見合っていないことです。勤務している学校によりますが、残業代が支給されないことがあります。
例えば、公立学校の教員は法律によって残業代が支給されません。一方で、文部科学省の教員勤務実態調査より公立学校教員の70%以上が60時間以上残業しています。よって、労働時間が給与に見合ってないと考える人がいるようです。
二つ目の要因は成果を上げても年収が上がりづらいことです。
厚生労働省の統計より教員の年収を年齢別にみると、年齢が上がるほど年収が増加する年功序列型の傾向です。そのため年齢が若いときに結果を出しても年収が上がらないので、年収が上がりやすい環境に移りたいと思うことがあります。
出典:文部科学省 教員勤務実態調査
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
理由③仕事のストレス
要因としてまず挙げられるのが、生徒や保護者への対応時間の長さです。特に問題のある生徒の対処やクレーム対応は精神的な負荷がかかります。
同僚である教員同士のトラブルも要因に挙げられます。生徒指導の方針の違いやコミュニケーション不足による誤解などが主な内容です。
その他、長時間労働による疲労からくるストレスも含まれています。文部科学省の教員勤務実態調査から、公立学校教員の約45%が厚生労働省が定めた過労死ラインである月80時間以上の残業をしていると公表されています。このデータより、多くの教員が抱えるほどの労働をしている可能性があると考えられます。
教員からの転職は厳しい3つの理由
教員からの転職は厳しいと噂に流れているようです。主な理由を3つ紹介いたします。
理由①転職活動の計画が立てづらい
計画を立てづらい主な理由は、平日は授業の準備や生徒のサポート、休日は部活動に追われているため、転職活動に充てる時間確保が難しいからです。
またクラス担任を務めている場合、年度途中で仕事を辞めることが難しくなり、その結果として転職活動が2~3月に絞られてしまい、十分な時間を確保して計画を練ることが難しくなっています。
理由②ビジネス経験が不足している
教員は生徒指導等の特殊な業務内容が多く、利益や結果など数値的な評価が難しい仕事です。その結果、選考の際に企業からビジネス経験が不足していると判断される可能性があります。
電話対応や名刺交換などビジネスマナーの機会が民間企業の経験者と比べて少ないことも要因として挙げられます。
そのため選考の際に自身の経験をビジネスや数値的につなげて企業にアピールすることが非常に重要です。
理由③今の年収を維持できる選択肢が少ない
選択肢が限られる背景には「未経験の転職は一般的に年収が下がるケースが多い」と「教員の平均年収が高い」二つの要因があります。
教員の経験やスキルは専門的で、他業種への転用が難しいためです。一般的に未経験転職は年収が下がるケースが多いため、教員の年収を維持した転職は厳しくなります。
厚生労働省の統計より教員の平均年収は日本の平均より292万円も高いので、幅広い年収帯の仕事を検討しましょう。
※出典:厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
国税庁 標本調査結 民間給与実態統計調査結果
教員からのおすすめ転職先
塾講師・家庭教師
塾講師は教員の経験を活かすことができる仕事です。塾講師への転職に必須のスキルである、「学力」「コミュニケーション力」「プレゼンテーション力」は授業や生徒指導の経験から既に十分に備わっているといえます。
また塾講師は教員経験者の多くから選ばれている職種です。塾講師ステーションキャリアで「塾講師に転職する前に正社員として働いていた業界は何ですか?」についてアンケート(注1)をした結果、全体の約10%が教員の経験があると回答しました。これは同業である塾業界からの転職を除いた3位に位置しています。そのため塾講師・家庭教師は教員からの転職先として、人気な職業の一つと言えるでしょう。
塾講師の詳しい仕事内容や転職で必要な知識については次の記事をご覧ください。
・塾講師に就職するなら知っておきたい!年収や仕事内容を解説
・塾講師への転職は未経験でもできる?必要な知識や心構えを解説
塾業界をもっと知りたい人は次の記事をご覧ください。
・塾業界レポートvol.1「塾業界の現状と課題」
・塾業界レポートvol.2「塾業界の真相~ブラック批判について~」
・塾業界レポートvol.3「塾業界の希望と未来」
・塾業界レポートvol.4「就活と塾業界」
塾の教室長
塾の教室長の業務の一つである生徒や保護者との関係構築に教員の経験を活かすことができるので、おすすめの転職先に挙げられています。
教室長は塾運営の立場として、継続して利用してもらうために生徒や保護者との関係構築は重要です。塾運営の立場として、生徒や保護者との関係構築は継続して利用してもらうために教室長にとって必要不可欠です。この生徒や保護者は教員のときと同じなので、関係構築の際に活きてくる経験になります。生徒や保護者は教員のときとサービスの相手が変わらないため、関係構築の経験を活かすことができます。
教室長の1日のスケジュールや詳しい仕事内容については次の記事をご覧ください。
・塾の教室長・副教室長の1日スケジュール 一般社員との違いは?
・生徒数30名と100名、教室長の仕事はどう変わる?
学童指導員
仕事などで保護者が日中にいない小学生を預かる施設のスタッフです。おすすめな理由は子供と密接に関わる仕事なので、教員としての経験を評価されやすいためです。
また労働時間も放課後から夜になるのでワークライフバランスを改善しやすい職種です。
教育業界の企業
学校の事務員や教材会社が該当します。元教員としての経験を自身の長所として仕事で活かすことできる場面が多いのでおすすめです。
教育ライター
雑誌やWebサイトなどの媒体に掲載される教育についての記事を作成する仕事です。教育現場で働いた経験からより専門的な記事を作ることが強みです。
営業職
営業職は教育業界には勿論、不動産や金融などの業界にもあり、未経験可と募集している求人が多いです。そのため幅広い業界にあるので、自身の興味や関心のある業界へのチャレンジが可能でしょう。
もう一つの理由は営業職で必要なコミュニケーション力について、教員で培った生徒・保護者の応対や授業で人前で話してきた経験を活かせるからです。
事務職
営業職と同じく、多くの業界にある職種です。事務職の仕事は教員時代の経験を活かすことができます。具体的にはクレームを含めた電話対応や急ぎの発注書作成など、冷静かつ迅速な対応を求められる場面で教員で培った対応力が活きてきます。
また事務職は一般的に残業が比較的少なく、ライフワークバランスが良い職種といわれています。そのため教員のよくある転職理由の一つである、長時間労働による仕事のストレスを改善できることもおすすめの理由に挙げられます。
ITエンジニア
ITエンジニアは令和5年8月現在、有効求人倍率が高く転職先を探しやすい売り手市場の傾向にあるのでおすすめです。他にも需要の多い職種もありますが、医療従事者など働く際に資格が必要になる仕事が多いです。一方、ITエンジニアは未経験でも転職可能な職種です。
接客業
来店してくる顧客に直接対応する仕事です。飲食店やホテル、企業の受付が該当します。教員で培ったコミュニケーション力や対応力を活かすことができます。
ウエディングプランナー
結婚式についての相談に対応する仕事です。コミュニケーション力やヒアリング力が求められる仕事なため、これまでの経験が活かしやすいです。
研究職
大学や企業の研究機関で従事する仕事です。忙しい教員の仕事を続けてきた継続力が、成果を出すまでに時間を要する研究職の仕事と親和性が高いです。
貿易関連の職種
貿易事務、バイヤーなど英語力が求められる仕事です。英語の先生であれば自身の英語力を十分に活かすことができます。
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教員から塾講師へ転職をした体験談
ここでは塾講師ステーションキャリアを利用して、実際に塾講師に転職した元教員の方の体験談を紹介します。
Q:転職理由を教えてください
A:体調不良になったからです。教えることは好きでしたが、精神的に仕事を続けていくのが
難しくなり休養しました。
Q:求人応募までに何をしましたか?またどのような条件で求人を探しましたか?
A:まずは自己分析をして、その後にインターネットで求人サイトを利用しました。
「最寄り駅」と「塾のブランド名」、「個別指導」、「大学受験」の条件で探していました。
Q:どの求人サイトを利用しましたか?
A:「塾講師ステーションキャリア」、「doda」、「Indeed」を利用していました。
Q:内定が出るまでに合計で何社受けましたか?
A:合計4社うけました。
Q:転職前と比べて何か変わったことや良いことはありましたか?
A:塾講師は自分の働き方に合っていると感じています。
生徒はかわいいし、楽しく仕事ができていると思います。
選考までに必要な準備について
①自己分析
自己分析が必要な理由は自身の強みと価値観を整理するためです。得意・不得意の整理や価値観を把握することで、自分に合っている仕事を見つけることができます。
下記の記事で、教員の代表な強みと例文紹介、面接で聞かれた際のポイントと注意点を紹介しております。自己分析の参考にしてください。
【例文あり】教員の転職で使える強みを紹介!伝え方のコツも解説
自己分析には無料の性格診断ウェブテストの16personalitiesがおすすめです。このテストでは自身の性格や向いている職業がわかります。約10分で受けることができます。
②業界研究
業界研究が必要な理由は転職のミスマッチを防ぐためです。転職後に思っていた仕事内容と違うと感じて、また転職を繰り返す状態にならないために転職活動における業界研究は重要です。現職で不満に感じていることが、研究している業界で改善できるか比較してみましょう。
まずは求人サイトや書籍で情報収集しましょう。転職イベントに参加して企業の担当者に話を聞いてみることもおすすめです。またSNSや企業の口コミサイトでは実際に働いている人の生の声を知ることができます。
ある程度の情報が集まったら、自己分析からわかった自身の強みと価値観に合っている業界を選び、実際の求人に応募しましょう。
③転職理由と志望動機
転職理由と志望動機が必要な理由は選考結果に大きく影響するためです。企業側は応募者の「会社との相性」や「長く働く見込み」を転職理由と志望動機から判断しています。そのため作りこみが甘いと選考の通過が難しくなります。
重要なポイントは一貫性のある構成で話すことです。構成内容は「結論」「結論の理由」の順番で考えましょう。志望動機は応募する企業の求人内容やHP見て、他企業と違う魅力をまとめ、自分がなぜそう感じたのか深堀りを行います。そうすることで説得力のある内容になります。
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まとめ
本記事では教員からの転職について、「代表的な転職理由」「転職が厳しい理由」「選考に必要な準備」「おすすめ転職先」「体験談」の5つ項目に分けて紹介してきました。
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